【報知映画賞】「カメラを止めるな!」に特別賞、上田慎一郎監督「一生映画撮るしかない」

2018年11月28日6時0分  スポーツ報知
  • カメ止め旋風を支えたファンに「110回劇場で見た方が最多」と感謝した上田慎一郎監督

 今年の映画賞レースの幕開けとなる「第43回報知映画賞」の各賞が27日、発表された。

 低予算作品ながら社会現象にもなった「カメラを止めるな!」が特別賞に輝いた。すでに海外映画祭で16冠。上田慎一郎監督(34)は「さまざまな賞が錯綜(さくそう)し、どれを誰に伝えたか…」と、うれしい悲鳴を上げた。わずか2館のスタートから興収30億円超の大ヒット。「特別賞が一番合っている。作品プラス、ファンや現象をひっくるめての受賞なので腑(ふ)に落ちました」と、かみ締めた。

 今回が劇場長編デビュー作。「チャーミングなホラー映画、バックステージや時間軸が非直線的。自分が好きなものを100%つぎ込む集大成にしたかった」。37分ワンシーンワンカットのゾンビ映画の撮影に臨む人々を描いた。300万円という製作費が話題となったが、「今までは何十万で撮っていた。一番多い製作費でしたが、いつも通り大変でした」。血まみれの衣装は自宅ベランダで作製。監督役の部屋でのシーンも自宅で撮影した。それでも前半のワンカットシーンは6回撮り直すなど、完成度にはこだわり抜いた。

 中学生から自主映像を撮り始め、高校の文化祭では短編映画で最優秀賞を3連覇した。映画監督を志して20歳で上京したが、ネズミ講にだまされた上に、カフェの出店に失敗。起死回生と発売した小説は惨敗。上京後4年間、カメラは回さず、借金だけが残った。「高校生の時は小さな町で、やることなすこと結果が出て俺は天才やと自信過剰だった。上京してからは、やることなすこと失敗」。大粒の涙を流した24歳のある夜。「映画監督に一歩も近付いていなかった」と気付き、再びカメラを手にした。

 今後に期待がかかるが「日本ならではのスパイ映画、タイムマシンものなど愛される娯楽映画を作りたい」と意気込む。「デビュー作のタイトルが『カメラを止めるな!』。一生、映画撮るしかないですよね」。もうカメラは止められない。(水野 佑紀)

 ◆上田 慎一郎(うえだ・しんいちろう)1984年4月7日、滋賀県生まれ。34歳。2010年、映画製作団体PANPOKOPINAを結成。15年、オムニバス映画「4/猫」の一編「猫まんま」で商業デビュー。妻・ふくだみゆき監督のアニメーション映画「こんぷれっくす×コンプレックス」などのプロデューサーを務めた。

 ◆「カメラを止めるな!」 山奥の廃虚でゾンビ映画を撮影していた自主映画の撮影隊。こだわりの強い監督(濱津隆之)はOKを出さず、すでに42テイク目。現場の士気も下がってきた時、スタッフたちが次々とゾンビ化。主演女優(秋山ゆずき)らに襲いかかる。

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 ▽特別賞 無名監督、無名キャストで2館から累計公開上映館数350超に飛躍した「カメラを止めるな!」の社会現象について「ここまで映画界をもり立てた無名の役者、監督に賞を与えるべき」(LiLiCo)という支持があり、賛成多数で受賞

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