豊島将之2冠サンタ、19年の夢は「名人戦に出たい」…クリスマスフェスタでファンと交流

スポーツ報知
レアなサンタ帽姿を披露した豊島将之2冠

 将棋ファンの皆様、メリ~クリスマ~ス! 棋士・女流棋士たちがサンタクロースにふんする恒例イベント「クリスマスフェスタ2018」が15日、東京・浅草橋のヒューリックホールで開催された。今年、棋聖・王位を連続奪取して唯一の複数タイトル保持者となった豊島将之2冠(28)、新タイトルの初代就位者となった高見泰地叡王(25)も参加。ファンと交流し、2019年の夢を語った。(北野 新太)

 サンタ帽をかぶった豊島2冠の笑顔ほど、現在の将棋界において貴重な画(え)柄はない。タイトル奪取直後にも笑みをこぼさないレベルで喜怒哀楽を表さない若き覇者は、トークショーで頬を緩めた。

 「いちばん怖いものは…虫です」「カレーを食べると将棋の調子が良くなるんです」「映画はハリー・ポッターの続編を最近見ました」。知られざる素顔のエピソードこそがファンにとって何よりのクリスマスプレゼントとなった。

 2010年度からタイトルに4度挑戦して届かなかった俊英にとって、18年度はブレイクスルーイヤーとなった。7月、棋聖戦5番勝負でフルセットの末に羽生善治を破り、初タイトルを奪取。9月には、王位戦7番勝負で再び最終局まで戦い、26歳の菅井竜也を撃破。一気に2冠に躍り出た。「タイトルを取ることをずっと目標にしてきたので、良かったな、と思います」

 夢に達しても、クリスマスプレゼントをもらった子供のように充足するつもりはない。現在、名人挑戦権を争う順位戦A級で6戦全勝と首位を走る。春に開幕する名人戦7番勝負での佐藤天彦名人(30)への挑戦権を懸け、残り3戦を戦う。「やはり名人戦には出てみたいなと思います。昨年度は年明けに負けが込んでしまったので(後半5戦で4敗)、今年はチャンスだと思うので頑張りたいです」

 羽生の27年ぶりの無冠転落は、さらなる変革期の予兆となった。唯一のダブルタイトルホルダーとして、未来をどう見ているのか。「競争はかなり厳しいと思っています。自分と同じくらいの力を持った人が今は20人か30人くらいいます」。そして、具体名を1人だけ挙げた。「藤井(聡太七段)さんがさらに実力を伸ばしたら、タイトルを独占するくらいの力になるかもしれないので、何とか戦えるようになっていないといけないと思っています」。謙遜ではなく本音に聞こえる。

 誰もが「求道者」と声をそろえる男。クリスマスの予定は…。「26日に年内最後の対局(竜王戦1組・三浦弘行九段戦)があるので、終わるまでは将棋を一生懸命やりたいですね」。研究に励むイブも、豊島にとっては聖なる夜なのである。

 ◆かぶり芸も 〇…フェスタには棋士8人、女流棋士6人が参加。日本将棋連盟会長・佐藤康光九段(49)は山口恵梨子女流二段(27)、谷口由紀女流二段(25)とともに「鈴木環那女流二段の似顔絵対決」に参戦するも、絵心は将棋の実力とは関係ないようで…完敗を喫し「絵を描いたの初めてなんです…」と苦しい弁解。カツラ芸で人気の佐藤紳哉七段(41)は、トナカイのかぶりモノと思いきや「いや、馬です」。正直に明かしつつも勢いで乗り切っていた。

 ◆豊島 将之(とよしま・まさゆき)1990年4月30日、愛知県一宮市生まれ。28歳。桐山清澄九段門下。99年、9歳で奨励会入会。07年、四段昇段。10年度の王将戦でタイトル初挑戦。14年度の電王戦ではコンピュータソフト「YSS」に完勝。最近の愛読書は「サピエンス全史」。居飛車党。

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