「カメ止め」がブルーリボン賞作品賞 上田監督は「この作品を選ぶのは根性がいる」

スポーツ報知
作品にちなみゾンビポーズを披露する上田慎一郎監督

 東京映画記者会(報知新聞社など在京7紙)が主催する「第61回(2018年度)ブルーリボン賞」が20日、決まった。

 「カメラを止めるな!」が報知映画賞の特別賞に続き、作品賞に輝いた上田監督。すでに海外映画祭で16冠だが、「作品賞は日本の映画賞では初。この作品を選ぶのは根性がいるのでは。すごく英断していただいた」と喜んだ。

 同作はわずか上映館数2館のスタートから、興収31億円超の大ヒットを記録。累計上映館数は350に上り、社会現象を巻き起こした。ただ、上田監督は「全ては棚ぼた。賞は狙ってなくて、面白い作品が作りたかった。それが良かった」と振り返る。短編制作時は、賞を取りたいという邪念が頭をちらつき、「映画祭で入賞することが目的になって、入賞できないと幸せじゃなくなっていた」。なぜ自分がメガホンを執っているのか分からなくなった。

 だが、本作が映画撮影の原点を思い出させてくれた。「『面白い作品を作りたい』と映画を撮った。映画を作ることが幸せなんだと思い出した」。映画は中学2年生の時に見よう見まねで撮り始めた。放課後に映画が好きという理由だけで集まり、無我夢中に日が暮れるまで映画を撮る―。面白い作品を撮りたい一心だったあの頃に戻り、撮影をした。

 高校時代に学園祭の出し物でメガホンを握り、監督としての醍醐(だいご)味を知った。「普通は不正解と思う人を、正解に無理やりする楽しさがある」。見せ場を欲しがる素人の同級生をいかし、いかに面白い作品を作るか―。「良い役者にするのが監督の仕事。誰が来てもその人を生かすことが自分の得意なこと」。制作費300万円、無名役者を使い「面白い」を実現させたルーツがここにあった。

 上田監督は今や時の人。次作に期待がかかるが、どんなキャスティングをするのか。「(演技がうまい役者、下手な役者)半々がいいかな。美男美女で演技がうまい人は苦手」と苦笑いを浮かべた。

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