尾上菊之助の長男・和史くんが7代目尾上丑之助名乗り 新元号デビュー1号

スポーツ報知
「梅雨小袖昔八丈 髪結新三」で共演した時の尾上菊之助(右)と寺嶋和史くん(昨年3月1日撮影)

 歌舞伎俳優・尾上菊之助(41)の長男で、尾上菊五郎(76)、中村吉右衛門(74)とともに人間国宝を祖父に持つ寺嶋和史(かずふみ)くん(5)が、5月の東京・歌舞伎座公演「團菊祭」で正式な初舞台を踏み、7代目尾上丑之助(うしのすけ)を名乗ることが2日、分かった。

 5月1日に新元号となり、最初に歌舞伎俳優としてデビューを飾る。今月末にも正式に発表される見通し。「丑之助」は、2代目尾上菊五郎の幼名・丑之助に由来。歌舞伎の名門、音羽屋にとって、将来の「菊之助」「菊五郎」につながっていく大事な芸名だ。

 2016年5月の「團菊祭」で初お目見えした和史くん。昨年3月「髪結新三」では舞台に立てることが「楽しい」と笑顔を見せ「今においらは役者になるのだ」と力強く初セリフも聞かせた。1月にも国立劇場に出演し舞台度胸がついてきた様子をうかがわせた。

 和史くんの母、瓔子さんは吉右衛門の四女。音羽屋、播磨屋のDNAを受け継き、芸事に親しみながら育ってきた。先ごろ、20年5月に市川海老蔵(41)が13代目市川團十郎白猿を襲名。長男の堀越勸玄くん(5)は8代目市川新之助を名乗り初舞台を踏むことが発表されたが、実は今年も大きな初舞台が控えていた。

 演目は選定中。菊之助の初舞台は84年で6歳の時、6代目丑之助に。祖父の尾上梅幸、父の菊五郎の親子3代で登場した。狂言は村上元三氏がこの舞台のために書いた「絵本牛若丸」で牛若丸を演じた。音羽屋の節目ともなった演目だけに、今回も有力候補となっている。

 初舞台から35年の年月。昨年11月のインタビューで菊之助は和史君のことを「歌舞伎が好きで厳しい稽古も嫌がらず、へこたれずにやっている。親になって分かったが、子供が大人の世界に入ることは大変。楽屋でじっとしていること一つにしても」といい、「思い切り遊んでやる時、稽古で厳しくする時。切り替えの大切さを一層、考えるようになった」と語っていた。

 ◆「襲名」と「名乗る」 芸名を持つ役者が、別の名前になることを「襲名」という。本名から最初に芸名をつける場合は基本的に「名乗る」と表現する。歌舞伎の「初舞台」は、芸名で初めて舞台に立つことを指す。かつてはいきなり初舞台というケースが大半だったが、最近はプレデビューとして本名で出演する「初お目見え」が定着。初お目見えでもポスターや看板に顔写真入りで紹介され、興行面で話題になることも多い。

 ◆音羽屋 初代尾上菊五郎が創設。初代の父・半平は京都で芝居茶屋の出方を営んでいたが、東山・清水寺近くの境内にある「音羽の滝」にちなみ、自らを音羽屋半平と名乗っていたという。現在尾上菊五郎・坂東彦三郎両系統が称する屋号。6代目菊五郎は「演劇の神様」といわれた。

 ◆寺嶋 和史(てらじま・かずふみ)2013年11月28日、東京都生まれ。5歳。尾上菊之助の長男。16年5月「勢獅子音羽花籠」で初お目見え。初役は18年3月「梅雨小袖昔八丈 髪結新三」で芝居好きのでっち役。同年6月「夏祭浪花鑑」で吉右衛門と初共演。歌舞伎ファンの間では「カズフミ」が変化して“じゅふたん”の愛称で呼ばれ、恥ずかしがり屋の一面も。「ブロッコリーとかぼちゃ」が好物。

芸能

×