藤井聡太七段に漂う王者の「風格」と「余裕」…将棋担当記者が感じる16歳の変化

スポーツ報知
渡辺明棋王(左)に挑んだ藤井聡太七段

 将棋の史上最年少棋士・藤井聡太七段(16)が16日、都内で行われた第12回朝日杯オープン戦で2連覇を飾った。羽生善治九段(48)に次いで同棋戦史上2人目の2連覇。準決勝で行方尚史八段(45)に、決勝では第一人者の渡辺明棋王(34)に完勝。いずれも不利とされる後手番ながら、異次元の力を見せつけた。

 1年前と同じ壇上で同じトロフィーを抱き、同じように照れ笑いした16歳だが、確実に15歳の時から変化している。風格だけではない。良い意味での「余裕」を漂わせているのだ。

 優勝インタビューを終えた後、段取りの都合で再び優勝の感想を聞かれた。会場の「またぁ!?」という空気を感じ取った藤井は「あ、ハイ…まさか…またあいさつをさせていただくことになるとは…」と絶妙トークで爆笑の渦に。何かを語る前、一瞬考える余裕が今の藤井にはある。

 最近の取材では、JR山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」について、鉄道ファンとして「『芝浦』と予想したんですけど、読み筋を外してしまい…もっと深く読まなくては」。平成最大の出来事とは何かと尋ねれば「9・11の(米同時多発)テロは、国家間の戦争という軸から世界が変化する象徴だったのかな、と」とも答えた。

 どんな言葉なら楽しんでもらえるだろうか、と読む余裕。盤上で貫いている平常心と無関係ではない気がする。(将棋担当)

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