大河「いだてん」演出・大根氏、第9話で勘九郎一変「ブラックな部分出る」

スポーツ報知
大河「いだてん」9話目のワンシーン。生田斗真(左)と中村勘九郎

 NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(日曜・後8時)の演出を務める大根仁氏(50)がこのほど、東京・渋谷の同局で行われた取材会に出席した。

 大根氏はテレビ東京系「モテキ」など民放ドラマを中心に、福山雅治(50)の主演映画「SCOOP!」の演出なども手掛けてきた。3年ほど前に、10年来の親交がある「いだてん」チーフ演出の井上剛氏に声をかけられ、外部から参加した。

 今回初めて、NHKドラマの演出を担当するとあって「ここ数年、テレビドラマのクオリティーということにおいて、NHKのドラマはすごい作品が沢山生まれている。どういう仕組みか(裏側を)見てみたいと思っていた。特に美術がすごい。クレジットの最初にくる。歴史がぎゅうぎゅうに詰まったセクション」と関心した様子。

 影響を受けた大河ドラマは何かと聞かれると、「小学校の頃、父親がチャンネル権を持っていたので『黄金の日日』『獅子の時代』が印象に残っている。どちらも有名な武将や、歴史に名を残した偉人ではないという切り口がすごく良かった。平成で言うと『龍馬伝』はこれまでの大河と違う斬新な作りだった。『平清盛』もどこまで行くんだろうという思いで見ていた」。

 歌舞伎俳優の中村勘九郎(37)演じる日本初の五輪マラソン選手・金栗四三(かなくり・しそう)と、阿部サダヲ(48)演じる1964年の東京五輪実現に尽力した新聞記者・田畑政治(まさじ)が主人公だが、一般的な知名度は比較的低い。大根氏は、そこにひかれた様子で「大河ドラマやらないかと言われた時、有名な武将や、歴史に名を残した偉人だったら腰が引けていたと思う。宮藤(官九郎)さんが脚本というのが大きいですけど、金栗さんも田畑さんも知らなかった。『誰?』という人を描くのに興味があった」と語った。

 自身が演出を手掛けた3日放送の第9話は、金栗と生田斗真(34)演じる文武両道のエリート・三島弥彦が日本人として五輪に初出場すべく、スウェーデンの首都・ストックホルムに向かうという内容。「やったことのないものに挑むのはドキドキする。100年前の人がユーラシア大陸を横断してストックホルムまで行くというのは普通の仕事では撮れない」。撮影はスタジオで行われたが、自身は実際にシベリア鉄道に乗りに行くという追体験を志願した。

 初仕事となった勘九郎の演技については「もともとうまい人。勘九郎さんはダークな役が似合うと思っていた。中村家のドキュメンタリーを見たりして、業の深い部分感じていた」と明かした。

 第9話では、これまでの金栗のイメージを変えるシーンがあるという。「1~8話まで走るのが大好きな分かりやすいキャラクターでしたが、9話目からブラックな部分が出てくる。これまでに見たことのない“ブラック四三”が見られる。生まれも育ちも違う三島に対する嫉妬心が出てくる。勘九郎さんが人に見せたことないような表情も撮れた」とアピールした。

 大河のイメージを一新するような「いだてん」に参加して「演出だけに注力できたのは、楽しかった。深夜ドラマなどでやってきたのものはエンターテインメントでポップなもの。ポップな要素が、これまでの大河に見られなかった部分で、加えられればいいなと思った」。

 一方、「いだてん」の平均視聴率をめぐっては、10日放送の第6話が関東地区で9・9%(関西地区8・0%)で、大河史上最速の1桁視聴率を記録。24日放送の第8話は9・3%(関西地区7・7%)に落ち込んだ。こうした状況に関して、「在宅率に高い時間帯でいろいろな世代が見るので、多様な意見があって然るべき。個人的には視聴率は何年も前から形骸化していると思っている。リアルタイムで見るというのを計るのは。録画、配信で見る人もいる。でも視聴率は分かりやすいから、そこを取り上げられるのは仕方ない」と話した。

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