キンプリ・岸優太、デビューから1年「今はまだまだ通過点」

スポーツ報知
~vol・27~

 King&Princeの3rdシングル「君を待ってる」が、4月3日に発売される。昨年5月のCDデビューシングル「シンデレラガール」から2作連続で初週売り上げ40万枚超えという史上2組目の快挙を達成。デビュー1年目でNHK紅白歌合戦に出場するなど大活躍だった。リーダーの岸優太(23)は、3枚目にして初の応援ソングを手に「自分たちも背中を押される」と、さらなる飛躍に力を込めた。

 新曲は「今の自分を変えたい!」「新しい自分を見つけたい!」と思う人の背中を押す一曲だ。岸は、自身も今後に向けて、そう願う一人だ。

 「本当に、今はまだまだ通過点と言いますか。これからこうなりたいという、夢の途中。自分たちも、まだ経験していないことばかり。自分たちのことを身近に感じてもらえるのではと思いますし、自分たちも、この曲で背中を押されます」

 “キラキラ色”を前面に出した、これまでの2作と一線を画した一曲は、数ある候補の中からメンバー全員で決めた。

 「だいぶ話し合って決めました。それで、やっぱりこの曲だと。サビのメロディーも、ものすごいキャッチーであって力強い。なおかつ爽やかさもある。若いながらも、僕たちが何か応援歌として伝えるのに、ちょうどいい“あんばい”が含まれていたんです」

 ラブソングとは歌う感情も異なる。新曲の歌詞で、その思いをかみ締めながらレコーディングに臨んだ。

 「今までの曲は、幻想チックなところもあった。『君を―』は、いろんな方にきっかけを与えられる身近な一曲になれば。歌詞に『10年後の自分は、どんな自分か』というのがある。夢を目指して頑張っている方、中には夢がない方もいらっしゃると思うけど、何かのきっかけになりたい。(自分?)あんまり…普通のことをやっている程度なんですけど。自分が頑張っているっていったら何だろ。10年後に、なりたいと思っている自分がなれるようなことを日々やっているかな」

 10年後、岸がなりたいと思い描く自分の姿とは。そこには、激動の1年だったからこその苦悩もにじませる。この1年で感じた自らへの課題がある。

 「表現の一つとして、言葉で伝えることは、ものすごく大事だと思うけど、僕はあんまり得意じゃない。何かの役になりきるお芝居とか、ダンスとか歌にしろ、自分の表現力で人にしっかり何かが伝わるような人間になりたい。そういうことに向かって、日々を過ごしている感じです」

 今作には「進研ゼミ」のCMソングに起用された「風に乗れ」も収録。これも、受験に向けて日々勉強に励む学生たちを応援する一曲だ。

 「この曲も、またフレッシュな感じ。ある意味分かりやすくて、僕たちよりも若い人たちも頑張ろうかなと思える曲だと。自分も、マラソンのタイムを計る時とかに、この曲が流れたら、本当に駆け出したくなる。好きな曲がかかると思い切り走りたくなるタイプ。今は、全くもって走ってないんですけど、例えば…です。この曲聴いて走りたいと思います」

 自身、夢をかなえた一人だ。CDデビューという、ジャニーズJr.にとっての大きな夢の一つをつかんだ。入所10年目だった。6人でジャニー喜多川社長にデビューへの思いを伝え、実現した。ジャニー氏の一言は「デビューするなら1位を取らなきゃダメ。デビュー以降が本当に大変。覚悟はあるのか」だ。自分たちが望んだものだが、現実は想像以上だった。

 「人生で去年が一番、心臓が震えた年でした。心拍数が半端じゃなかった。興奮もありましたけど、ある意味プレッシャーもありましたから」

 13~15年に出演した舞台「Endless SHOCK」で主演のKinKi Kids・堂本光一(40)から仕事への心構えを教わった。デビュー前からJr.だけの舞台「ジャニーズ YOU&ME アイランド」(帝国劇場)のメインキャストにも名を連ねるなど、経験は豊富。だが、Jr.時代とは勝手が違った。一番は紅白のステージだ。

 「デビュー発表会見にしろ、一つ一つの音楽番組だったり、1stツアーにしろ、この1年間でいろいろあったけど、本当にたくさんの人から声をかけていただいたというのは、やっぱり紅白。人生で一番緊張したといっても過言じゃない」

 会場のNHKホールは、レギュラー出演するNHK BSプレミアム「ザ少年倶楽部」(金曜・後6時)で何度も立ったことのあるステージだ。

 「慣れているなと思っていたのに、入り口に入った瞬間から大人の数といい、空気感といい…。『いやー、これか!』ってなりましたね。本当にすごかったです。特別。毎回緊張するけど、紅白に関しては(視聴者に)見えてるんじゃないですかってくらい(心臓が)揺れていたレベル。普通にしゃべっていて声も震えました」

 デビュー曲の初週売り上げ57・7万枚は、KAT―TUNに次ぐ歴代2位。また、デビューから2作連続の初週40万枚超えも史上2組目の快挙だった。3rdシングルの期待が、プレッシャーとしてのしかかることにもなりかねない。

 「結局、1年振り返ってみると、楽しんでやっていることが一番だなと思った。考えとしては、去年はいっぱいいっぱいだった部分がある。だから、今年は楽しんでやろうというスタンス。どう崩していけるか分からないけど、1年やったからこそ、肩の力は少し抜けてできるかなと思う。いい意味で」

 グループ内では最年長。CDデビュー発表会見の席上、メンバーと詰めかけたファンからリーダーを任された。

 「リーダーなんですけど…リーダーって言えるようなことって、思い当たる仕事は一つもしてない。それぐらい一人一人が自覚して、それぞれの考えを持っている。僕は、むしろ他のメンバーから教えてもらっている立場。みんなの中で、いつかどこかでリーダーとしっかり思われる存在になれていれば。今はまだできてないですね」

 恐縮する一方で、昨年12月からグループ名を冠した舞台「ジャニーズ King&Prince アイランド」の2か月公演を成功させた。全公演即日完売という人気ぶりだった。日々、進化を求め続けた2か月間だった。

 「12月と1月は、自分でも、だいぶカロリーを消費したと思います。毎公演、お客さんの反応も違う。自分たちも、ああしたい、こうしたいという欲が生まれる。だから正直、成長した?って言われると実感はない。持ちたくもない。成長したと思うと、止まっちゃう気がする。毎公演、その前の公演を超そうという思いでやっていたから。成長は、周りの人から、そう見えていたらいいかな」

 年末には紅白ともう一つ、夢だったステージが実現した。東京ドームでの年越しライブ「ジャニーズカウントダウン」への出演だ。先輩のバックで立ったことはあるが“景色”は全く違った。

 「ステージで自分たちの曲を歌わせてもらったのは、もちろん初めて。本当に気持ち良すぎました。もう一人の自分が寝ているんじゃないかってくらい、夢のような世界でした」

 現実に体験したからこそ、ドーム公演への思いは一層、強くなった。

 「1年目は本当に、自分たちでも考えられないほど、たくさんの声援をいただいたと思います。でも、それに満足せず、もっともっと高みを目指していかないと。僕たちも、まだ自分たちのカラーを出し切れていないと思う。個々での仕事も、もっと増やしていかないと。こんなことができるんだと、ファンの人たちを、もっともっと驚かせていきたい。その先にあるのがドーム。やっぱりドームでツアーもやってみたい。それが、今のみんなの夢です」(畑中 祐司)

 ◆岸 優太(きし・ゆうた)1995年9月29日、埼玉県出身。23歳。2009年7月にジャニーズ事務所入所。14年「お兄ちゃん、ガチャ」(日本テレビ)で連ドラ初主演。15年にテレビ朝日主催の夏イベントの応援サポーターとして結成された6人組「Mr.King VS Mr.Prince」のメンバーに選ばれ、18年5月に現グループでCDデビュー。血液型A。

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