藤井聡太七段、勝ったけれどB級2組昇級ならず…32年ぶり師弟同時は夢と消える

スポーツ報知
大阪・関西将棋会館での順位戦C級1組で、都成竜馬五段(左)に勝ったが昇級を逃した藤井聡太七段

 将棋の第77期順位戦C級1組の最終局が5日、東京と大阪の将棋会館で一斉に行われた。史上最年少棋士・藤井聡太七段(16)は都成竜馬五段(29)を126手で破り、9勝1敗で今期を終えたが、1敗で並んでいた上位棋士3人がすべて勝ったため、順位の差で2期連続の昇級はならなかった。B級2組には、師匠・杉本昌隆八段(50)と近藤誠也五段(22)が昇級。ともに勝ちながら師弟は明暗を分けた。藤井は「仕方がない。来期も一局一局、(白星を)積み重ねていきたい」と先を見据えた。

 藤井は公式戦で4戦4勝と負けなしの都成を相手に大阪の関西将棋会館で最終局に臨んだが、対局中に昇級の可能性は消滅した。

 まず師匠・杉本八段が東京の将棋会館で午後10時24分に千葉幸生七段(40)を下し、自力でB級2組への昇級を決定。その9分後。同じく1敗で並んでいた船江恒平六段(31)が金井恒太六段(32)を破った。この時点で藤井の脱落が決定した。

 午後11時14分。都成が投了すると、報道陣約60人が一斉に対局場に。そこで主催社から昇級が消えたことを知らされた。藤井は「う~ん…前回、敗れてしまったので仕方なかったのかなと思います」。淡々とした口調で2月5日の近藤五段戦の黒星を悔やみながらも、「来期も一局一局(白星を)積み重ねていければ」と前を向いた。

 藤井は昨期のC級2組を全勝。1期抜けでC級1組へ上がったが、同組では39人中31位。この日まで同じ1敗だった6位の近藤、7位の杉本、14位の船江の上位3人のうち2人以上が負けなければ勝っても昇級はできなかった。日付が変わった6日午前0時8分に近藤も勝利。藤井を含めた1敗勢4人は全て勝ち、順位の差で昇級と残留の明暗が分かれた。

 1986年度の大内延介九段(2017年没、享年75)と塚田泰明九段(54)がB級2組から1組へ昇級して以来、わずかに残されていた32年ぶり2度目となる同級からの師弟昇級は夢と消えた。それでも藤井は、「順位戦の将棋はじっくり考えることができているかなと思うので、今後も長い持ち時間(6時間ずつ)を生かして戦っていけたら」と来期へ頭を切り換えた。

 順位戦では中原十六世名人と加藤一二三九段(79)の2人の「レジェンド」がデビューからA級まで4年連続昇級しているが、それも達成ならず。最多29連勝や史上最速七段昇段など数々の記録を塗り替えている16歳だが、順位戦では最後の最後で「頭ハネ」に泣いた。

 ◆藤井 聡太(ふじい・そうた)2002年7月19日、愛知県瀬戸市生まれ。16歳。杉本昌隆八段門下。5歳で将棋を始める。12年、奨励会入会。16年、史上最年少の14歳2か月で四段(棋士)昇段。17年、デビューから無敗のまま史上最多の29連勝を記録。18~19年、朝日杯連覇。名古屋大教育学部付属高1年在学中。鉄道や地理、世界情勢に詳しい。居飛車党。

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