美園さくら、珠城りょうの2代目相手役で本拠地新コンビお披露目

スポーツ報知
トップ娘役就任後初の大劇場公演に臨む月組・美園さくら

 宝塚歌劇月組公演「夢現無双」「クルンテープ 天使の都」が、あす15日に兵庫・宝塚大劇場で開幕する(4月15日まで)。昨年11月に新トップ娘役に就任した美園(みその)さくらが、トップスター・珠城(たまき)りょうの2代目相手役として本拠地での新コンビお披露目に臨む。入団7年目の新プリンセスは「これまでは『やり切りました』という自分本意な気持ちでおじぎをしていましたが、今は、見に来ていただいているお客様への感謝が大きい」と、立場のありがたさを実感している。東京宝塚劇場公演は5月3日~6月9日。(筒井 政也)

 春の月組に新しい花が咲く。2012年から6年7か月にわたりトップ娘役を務めてきた愛希(まなき)れいか(現女優)から重いバトンを託された。「正直、相当悩んで、自分でいいのかなとネガティブに考えてしまっていたんですが、学びの機会に置かせていただく感謝の気持ちをお届けしたい」と所信表明した。

 就任後は「お稽古場でのあり方など身が引き締まる思い。見られている意識は常にあります」と変化も感じた。作品に真摯(しんし)に向き合う姿勢は従来通りだが、本格的始動作は慣れない和物だ。大劇場では100周年記念の舞踊「宝塚をどり」以来5年ぶり。昨年の博多座公演「長崎しぐれ坂」では経験があるが、今度はヒロイン。「身のこなし、着物の着方も丁寧に」襟を正して挑む。

 「夢現―」は吉川英治氏のベストセラー時代小説「宮本武蔵」が原作。剣の道を極めるため宮本武蔵(むさし)と名を改めて旅に出る武蔵(たけぞう=珠城)を追う幼なじみ・お通を演じる。「ず~っと追いかけています(笑い)。自分が今、どんな状態で、何歳で追いかけているのか考えないと、同じようなお芝居に感じられていますので、そこは考えてやらなければ」。漫画「バガボンド」や大河ドラマも参考にした。

 努力型だが、演出の脚本・演出の齋藤吉正氏には「意外。悩んでやっているように見えなかった。先天的な部分が魅力だと思っていた」と“天才肌”だと錯覚されたという。「それは…損ですよね(笑い)。役作りにしても、お通がどういう環境でいて…など道理がないとできない。適当に、雰囲気だけではやりたくない」。

 学生時代に得意だった数学への取り組み方と通じる。「現国は好きじゃなかった。答えの項目のA~D、全部ありじゃない? と思っちゃう(笑い)。なぜそうなるのか。筋道がないと気持ち悪いし、納得するまでやる」。台本も付箋だらけで「WHY?(なぜ)」と書き込み、貼り付けるが「タカラヅカは答えが一つじゃない。だからこそ苦しんでいますが、奥が深すぎる。そこが素晴らしい」。今は、ファンからの「よかった」「共感した」との声が正解を得るような喜びだ。

 本作では、珠城との関係性も“方程式”に当てはまる。「私が自然と珠城さんをお慕い申し上げる感じが、役とリンクします」。17年夏の「All for One」で悩み苦しんでいた時、声をかけてくれたのが珠城だった。「結果、宝塚で頑張ろうと決意できて。私は義理堅いところがあるので、珠城さんを少しでもお助けできたらと、その隙間が少しでもないか、探しています(笑い)」。未知の魅力にあふれる月組が、また違う色を見せそうだ。

 ◆美園 さくら(みその・さくら)6月17日生まれ。東京都江戸川区出身。2013年4月「ベルサイユのばら―フェルゼン編―」で初舞台。99期生首席入団。月組配属。新人公演で3度、バウホール公演で2度、昨年6月の「雨に唄えば」(東京・赤坂ACTシアター)のヒロイン役を経て、同11月に月組トップ娘役に就任した。身長164センチ。愛称「さくら」「さくさく」。

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