•  スポーツ報知のWebサイト限定コラムがスタートしました。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

映画賞レースの大本命「万引き家族」の対抗馬は口コミで長蛇の列できた低予算のインディーズ作品

2018年7月21日15時0分  スポーツ報知
  • 映画賞レースの大本命、映画「万引き家族」の(左から)是枝裕和監督、城桧吏、松岡茉優

 今年のカンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した是枝裕和監督の映画「万引き家族」が、6月8日の公開から約1か月半で動員300万人、興行収入36億円を超えるヒットを記録した。評判も良く、年末年始の映画賞レースで、おそらく大本命になるだろう。だが、超低予算のインディーズ映画が、意外な対抗馬に浮上しつつある。公開中で、日に日に口コミで話題が広がっている「カメラを止めるな!」(上田慎一郎監督)だ。

 予算約300万円、無名の俳優陣に、今作が長編映画デビューとなる34歳の新人監督。テーマは「37分ワンシーンワンカットのゾンビサバイバル映画」を撮った人々…。言葉だけ並べると、B級どころかC級の匂いさえ漂うが、ところがどっこい。乾くるみ氏の「イニシエーション・ラブ」のような異色の構成、広げた風呂敷を丁寧に畳んだ緻密な脚本。ネタバレになるので多くは書かないが、決して「通好み」ではなく誰もが楽しめる一本だ。劇場でも何度も声を上げて笑う観客が続出している。

 映画専門学校「ENBUゼミナール」の「シネマプロジェクト」第7弾として製作された作品。上田監督が2013年にある小劇団の舞台に着想を得て企画を発案した。昨年1月にプロジェクトが始動し、オーディションで12人の俳優を選抜。ワークショップを経て、上田監督がすべての俳優に当て書きする形で脚本を仕上げていった。

 昨年11月に6日間限定で先行上映されると、たちまち口コミが広がり、最終日にはチケットを求め長蛇の列ができる盛況ぶり。今年6月23日、満を持して都内2か所で公開されると連日満席となり、今月14日から渋谷ユーロスペース、川崎チネチッタで拡大公開がスタートした。

 同業の映画監督や、水道橋博士ら芸能人からも絶賛の声が相次ぎ、18日にはHKT48の指原莉乃がツイッターで「カメラを止めるな!会う人全員にすすめているんだけど誰もみてくれない。本当に元気でるから観に行って欲しい~!内容とか調べずに。本当に面白いから~~!!!」と投稿し話題に。今年3月のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で、ゆうばりファンタランド大賞(観客賞)を受賞、4月にはイタリアのウディネ・ファーイースト映画祭でシルバーマルベリー観客賞2位を獲得するなど、すでに国内外の映画祭でも高く評価されている。

 報知映画賞では、05年に内田けんじ監督が、やはり無名の俳優陣で撮った「運命じゃない人」で最優秀監督賞を受賞した。果たして「カメラを止めるな!」がどこまで広がって、賞レースも席巻するのか、とても楽しみだ。(記者コラム)

コラム
今日のスポーツ報知(東京版)