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テレビ局編成トップはMC力を絶賛も視聴者は「高圧的で苦手」…坂上忍とは何者なのか

2018年9月8日11時0分  スポーツ報知
  • 10月から新たに二つのメインMC番組が始まる坂上忍

 今、坂上忍(51)が大変なことになっている。

 すでに月曜から金曜のフジテレビ系情報番組「バイキング」のメーンMCを務め、ウイークデーに、その顔を見ない日がない上、この10月からは同じくフジで「坂上どうぶつ王国」、TBSでは「1番だけが知っている」というメーンMC番組がスタートする。

 これで坂上のレギュラー番組は民放キー局4局で全9本。「日経エンタテインメント!」が年に一度発表している「タレント・パワーランキング」3連覇中のマツコ・デラックス(45)でさえ、レギュラー番組は月曜の「月曜から夜ふかし」から土曜の「マツコ会議」まで民放キー局の番組プラス東京MX「5時に夢中!」の計8本だ。

 本数及び月~金曜の帯番組でメインMCを務めている点からも、坂上が放送時間数及び露出度で、現在のテレビ界きってのモンスター的存在であることは間違いない。

 3日に改編会見を行ったフジテレビ。斎藤翼編成部長は「坂上どうぶつ王国」という同局4本目の“坂上番組”のスタートにあたり、「坂上さんの番組がさらに増えるのかと思う人もいるかと思います」と、まず正直に切り出した後、「この番組はまず企画ありき。その企画は坂上さんから聞いたものです。ですから、坂上さんの番組が増えることには全く躊躇がありませんでした」と、同番組が坂上の発案によるものだったことを明かした。

 さらに6日のTBSの改編会見でも関ジャニ∞のバラエティ「ペコジャニ∞!」が9月いっぱいで終了。後番組として坂上MCの「1番だけが知っている」のスタートが発表された。坂上にとって、今年4月開始の「坂上&指原のつぶれない店」に続く同局2本目のレギュラー番組となる。

 フジに続くさらなる“坂上銘柄”発進に、思わず制作トップの意見が聞きたくなったから聞いた。

 「他局でも坂上さんのレギュラー番組が4本に増える局もあります。番組制作サイドから見て、坂上さんの魅力とは?」―。

 立ち上がって質問に答えてくれた石丸彰彦編成部企画統括は「卓越したMC力に尽きます」とまず一言。その上で「胸襟を開いて、まっすぐに(番組を)進行する。そうした所が受けているのではないかと思います」と分析した。

 「バイキング」を同時間帯1、2を争う高視聴率番組に育てた数字を取る能力プラス石丸氏が絶賛する時に強面に、時に優しく番組を進行する「MC力」。坂上番組を見ることが多い私も、その評価には納得だ。

 9月いっぱいで終わる番組を抱える編成トップですら、その手腕にはほれ込んでいる。

 坂上が古舘伊知郎氏(63)、千原ジュニア(44)とともに進行役を務めてきたテレビ東京系「おしゃべりオジサンとヤバい女」が今月いっぱいで終了することが、7日に行われた同局の編成会見で発表された。

 終了の理由について、「まずは営業事情があります。スポンサーのサポート事情から今回、終了という形になりました」と率直に答えた縄谷太郎編成部長に「10月からメーンMC番組が他局で二つ始まる売れっ子・坂上さんの番組が、このタイミングでなくなるのは、もったいなくありませんか?」と思わず聞いてしまった。

 苦笑いした縄谷部長は「今後も特番などでお付き合いを続けていけたらと思います」と答え、「坂上さんご本人もこの番組に関しては愛着を持って下さっている。気に入って下さっているので、引き続き、いい関係値でやっていける。今後もお仕事していけることを期待しています」と坂上が依然、魅力的な存在であることを明かした。

 民放各局の編成トップを魅了する反面、坂上の司会術に反感を持っている視聴者も一定数いる。6日の会見でのやり取りを「TBS、またも新番組開始の坂上忍の魅力は『卓越したMC力に尽きる』」と題し、「スポーツ報知」のwebで速報したところ、コメント欄には「『バイキング』での共演者への高圧的な態度が苦手」「その司会術には好感が持てない」など、坂上にとって、マイナスの意見が多くを占めた。

 各テレビ局制作陣からの高い評価とは裏腹な視聴者の苦手意識。果たして「坂上忍」とは何者なのか? 私の意見を書く。

 「良きにつけ悪しきにつけ自分の番組に、収録のその瞬間に、命をかけている男」―。これに尽きる。

 昨年12月、東京・台場のフジテレビのスタジオで行われた「バイキング」5時間特番の収録直後、坂上にインタビューする機会があった。坂上流の番組作りをじっくり観察させてもらった上で直接、話を聞くというぜいたくな時間だった。

 「芸能界で一番すごいと思うのは坂上忍さん。私も結構、いろんなものを犠牲にしてテレビに向き合っていますけど、あの覚悟の仕方を見ていると、この人にはかなわないなと思う」―。同じくテレビ界のモンスター・マツコが坂上を評して言った、この言葉が、ずっと頭にあったから聞いた。

 「今日の収録でも坂上さんの覚悟の強さを感じた。過去には『明日やめてもいいという思いでやっている』とも発言している。その覚悟は、ずっと持ち続けているものなのか?」

 「変わらないですね、はい」。こちらの目を正面から見つめた坂上は、その時そう言い切った。「いい意味で、よそ者であることを利用させていただいている。よそからバラエティーの世界に来させていただいているんで、そこで当たり前のようにしがみついてもしようがないというか」―。

 4歳での子役デビューから数えると芸歴47年のベテラン俳優だが、バラエティーは専門外。だからこそ「よそ者」として、その世界にしがみつくことなく、毎日勝負ができる。一見、暴言に見えるコメントだって、へっちゃらだ。この世界にしがみつこうと思っていないから失うものもない。

 「バイキング」全曜日のMCとして「覚悟」を持った上で「言葉で勝負する」という思いを持って現場にすっくと立っている―。私は心の底からそう感じた。

 その日、10時間以上の収録を終えた坂上が「すみません。いつもありがとうございます。なにとぞ一つ、よろしくお願い致します」と、こちらに頭を下げて言ったので、こちらも思わず言った。「一見(いちげん)の記者にもそういう感謝の姿勢で接し、本気で番組を続ける限り『バイキング』の視聴率は落ちないんじゃないですか?」―。

 ニヤリと笑った坂上のその時の答えは「そんな天狗にはなれません。はい」だったのを覚えている。そう、腰の低いその態度は私の後ろにいる読者を意識しての計算づくのものかも知れない。その反面、自分の近未来も、じっと見つめているゾクリとするほどの冷たさ、冷静さも感じた。

 坂上の行動原理、その言動の全ては自分が関わる番組をより良くするためにだけ発動している。あの日の坂上の笑顔からは「本物」だけが持つ殺気を感じ取ったし、このプロ意識こそが現場のテレビ制作者を強引なまでに惹きつける。

 「坂上忍」は平成最後の年に満開の時を迎えた希有なテレビ・タレントだ。私は、そう思う。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆坂上忍のレギュラー番組(2018年9月現在)

 ▽フジテレビ

 「バイキング」(月~金曜・後11時55分)メインMC
 「直撃!シンソウ坂上」(木曜・後9時)メインMC
 「坂上どうぶつ王国」(金曜・後7時)メインMC※
 「ダウンタウンなう」(金曜・後9時55分)「本音でハシゴ酒」ナビゲーター

 ▽日本テレビ
 「有吉ゼミ」(月曜・後7時)準レギュラー
 「天才!志村どうぶつ園」(土曜・後7時)コーナー・レギュラー

 ▽TBS
 「坂上&指原のつぶれない店」(日曜・後7時)メインMC
 「1番だけが知っている」(月曜・後10時)メインMC※

 ▽テレビ東京「おしゃべりオジサンとヤバい女」(土曜・後10時半)※
 ※「坂上どうぶつ王国」と「1番だけが知っている」は10月スタート。「おしゃべりオジサンとヤバい女」は9月いっぱいで終了。

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