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2年ぶりのゴールデン改編に踏み切った日テレの危機感…「まったく盤石ではない」理由とは?

2018年9月12日11時0分  スポーツ報知
  • 日本テレビ10月改編の目玉「THE突破ファイル」でMCを務める内村光良

 4年連続で年間視聴率「三冠王」=全日(午前6時~深夜0時)、ゴールデン(午後7時から10時)、プライム(午後7時~11時)の各時間帯で首位=を続ける民放テレビ局きっての“勝ち組”日本テレビが、この秋、大きく動く。

 今年4月、ゴールデン帯に手を付けない「無改編」で大きな話題を呼んだが、11日、東京・汐留の本社で行われた10月改編発表会見で発表されたのは、全日7・0%、ゴールデン4・9%、プライム12・6%という数字。岡部智洋編成局次長は「2年ぶりに新コンテンツをGP(ゴールデン、プライム)帯に配置しました。昨年10月、今年4月とドラマ以外は無改編で来ましたが、(局を取り巻く状況は)凪(なぎ)から潮目が変わりつつあるということで改編に踏み切りました」と率直に明かした。

 2013年の番組スタート時から健闘してきた「得する人損する人」(木曜・後7時)も今回、改編対象になった。10月25日からは今や“最強のMC”と言われる内村光良(54)が司会、好きなお笑い芸人1位の「サンドウィッチマン」の2人がレギュラー解答者を務めるバラエティー「THE突破ファイル」が始まる。

 「『得する人―』という番組は日本テレビの4年連続三冠を支えてくれた大きな立役者で貢献度の高い番組でした。しかし、2019年、2020年を見据える中、内村さんたちの番組でお茶の間に優しい時間を呼び込み、木曜を盤石にしたいと思います」と岡部氏は力コブをつくった。

 今回の改編のテーマについて「タイムテーブルの『新化と深化』です。フジテレビさんも『進化』(という改編キャッチフレーズ=勝負の秋、進化の秋=)としていました。日本テレビも、これまで番組のタイトルは一緒でも中身を進化させてきましたが、今回、新しい番組で地上波テレビとして、リアルタイムで見てもらうための勝負に出ます」とし、「日曜は『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』が(視聴者の)生活習慣になっているので、その進化を目指したい」と、常に15~20%の視聴率を記録し続ける同局のモンスター番組の名前を挙げ、続けた。

 確かに日テレ最大のドル箱である日曜夜の最強ラインアップ打破に向け、テレビ東京は「ポケットモンスター」などの人気アニメを放送枠移動。テレビ朝日は「ナニコレ珍百景」などの人気番組を組み合わせて勝負する形の編成を組んできた。

 徐々に“勝ち組”日テレ包囲網を敷きつつあるライバル局の動きを見ての今回の改編か? 7月まで「動かない勇気」を標榜していた日テレがついに動いたのか? 当然のように「今回の改編は“打倒・日テレ”を掲げる他局の動きを意識してのものか?」という質問が飛んだ。

 しかし、岡部氏の答えは、こちらの想像の上を行くものだった。

 「かなり戦略的な話になるので中々、答えが難しいんですけど」と前置きした上で「ショッピングモールに行くと、あそこにそば屋があって、あそこに和食店があってと、なじみの店があったら入りやすいというのがある。地上波テレビも理想を言えば、日曜19時、20時の「鉄腕!DASH!!」「イッテQ!」というなじみのお店があった上で味がしっかり進化する、メニューとして新しいものを提供するというのが理想。それを2期1年間に渡って深化させ、深さを求めてきましたが、今回は二つの危機感のもと、改編に踏み切りました」と真剣な表情で続けた。

 そう、この「二つの危機感」という言葉こそキーワードだ。

 「一つは他局との(視聴率)シェア争い、民放ですから当然の戦いですが、今、5年連続三冠に向かっていますけど、全くもって盤石ではないと危機感を持っています」と岡部氏。その上で「地上波として、デジタルメディアという部分での生活者の動画コンテンツへの接点の部分での危機感。他のメディアも含めた(戦いの中)地上波テレビとして、どういうプレゼンス(存在感)を持っていくか。そこに危機感を持ってます」と続けた。

 「クリエイター中心に生活者のニーズをつかみ、新しいものをいかに提供していくか。戦っていくというか、生活者の方に日本テレビを選んでもらえるようにしたい」と話した岡部氏始め日テレ幹部の目は日々、視聴率争いを繰り広げているライバル局以外の新たな“外敵”「ネットフリックス」「アマゾン・プライム」を始めとする動画配信サービスを、じっと見つめている。

 私にも大学3年になる息子がいるが、家で見ているのは、もっぱらタブレット端末での「ネットフリックス」。海外ドラマ視聴に夢中になっているのが現実だ。

 今後、次世代通信システム「5G」もスタート。各テレビ局の作り手たち、特に編成担当たちの視線は「他局と争って、いかにリアルタイムで番組を見てもらい、視聴率を稼ぐか」から「いかに、いつでも、どこでも好きな番組が見られる動画配信サービスより魅力的な番組を生み出すか」に移行しているかのように見える。

 この日、日テレ編成トップが明かした「危機感」はネットのニュースサイト全盛の今、紙そのもので読まれる機会が減少しつつある私たち「新聞」という媒体が抱える重い課題でもある。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆民放各局の10月番組改編率

 ▽日本テレビ 全日7・0%、ゴールデン(以下G)4・9%、プライム(以下P)12・6%

 ▽テレビ朝日 全日7・8%、G21・9%、P16・4%

 ▽TBS 全日6・2%、G18・1%、P23・9%

 ▽フジテレビ 全日5・8%、G23・1%、P24・5%

 ▽テレビ東京 全日18・3%、9・4%、P15・7%

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