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「勝負のカギはコンテンツ」…亀山前フジテレビ社長に教えられたクリエイター魂

2018年10月18日11時0分  スポーツ報知
  • 15日に行われたBSフジ社長懇親会に出席した亀山千広社長(中央)

 1人のクリエイターとして固い信念を持つ、その人は巨大テレビ局トップの座を退いて1年4か月を経ても意気軒高だった。

 昨年6月で4年間務めたフジテレビ社長を退任、BSフジの社長に就任した亀山千広氏(62)が15日、都内で放送担当記者を集めての懇親会を開いた。

 フジ時代、ドラマプロデューサーとして「ロングバケーション」「ビーチボーイズ」「踊る大捜査線」とメガヒットドラマを次々と手がけ、社長の座まで駆け上ったものの、就任後の4年間は苦難の道のりに。4年間で広告収入など本業の利益を示す営業利益を約4分の1に減少させた責任をとって辞任した。

 そして、衛星放送・BSフジの社長に就任。相変わらず若々しいルックスの亀山社長は2年目を迎えた新たな舞台での“戦い”について聞かれ、「BSは地上波のノウハウが80%通用しない世界でした」と、まずは正直にポツリ。「この1年間は勉強になるというか、今までの経験則ではやっていけないと分かった。新しいビジネス・スキーム(企画)を考えていかなければいけない。おちおちノンビリしていられない1年でした」と続けた。

 「気づいたのは、地上波を見ている人が多い時間は我々にとってのゴールデンタイムではないということ。僕らのゴールデンタイムを『お客がいっぱいいる時間』と考えるなら、タイムテーブル上、僕らがビジネスとして利益を得る時間帯は地上波とは違う。我々にとってのゴールデンタイムは23時以降だったり、土、日の昼間だったりする。その時間がお金のなる木なのではないか。何より全国1波でネットとの親和性も高い。何回も再生して、ああだ、こうだと見る。そこがビジネスチャンスになるのではないか」と分析した同社長。そこで、どうしても聞きたくなったから聞いた。

 「今の若者がこぞってスマホ片手に見ている動画配信サービスという新たな敵とは、どう戦いますか?」―。

 そう、大学生の私の息子もふと見かけると、必ず見ているのがテレビではなく、タブレット端末での「ネットフリックス」「アマゾン・プライム」を始めとする動画配信サービス。いつでも好きな時間に好きな番組が見られる新たなサービスを民放キー局も十分、意識。視聴率中心のシェア争いを繰り広げているライバル局以外の新たなライバルと見ているのが現状だ。

 そんな現状を踏まえての質問への亀山社長の答えは明快だった。

 「完全に(録画で)貯めておいて、自分の好きな時間帯に見るという個人シフトに(視聴者は)入ってきているとは思う。でも、我々、供給する側は見やすいところ、録画しやすいところに供給するということが一番のビジネスチャンスにつなげていくことかなと。そういう意味ではBSというのは自由度が高いかなと思います」と笑顔で話し、「この1年、我々の番組のクオリティーに関してはあまり心配いらない1年だった。全てのカギはコンテンツの魅力です」。きっぱりと言い切った。

 そう、自らの生み出すコンテンツへの絶対的な自信が亀山社長を支えている。2003年、映画「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」を現在も実写邦画の歴代1位に君臨する興行収入173億円のメガヒットに導いたヒットメーカーとしての自信が、その言葉にはあふれている。

 実際、BSフジ社長就任後も今月1日にスタートしたばかりの同局制作ドラマ「警視庁捜査資料管理室(仮)」(月曜・後11時)が民放公式テレビポータル・ティーバーのランキングトップに躍り出るヒット。こちらは「踊る大捜査線」の舞台・警視庁湾岸署ではなく、勝どき署を舞台にしたオリジナル作品。総監督に「SP」「踊る大捜査線」の本広克行氏、主演の警視庁技術専門官として瀧川英次が主演する全く新しい警察ドラマだ。

 この日の会見でも「『踊る大捜査線』の重箱の隅をつつくだけ、つついて(細かい設定を全て持ち込んで)立ち上げた番組です。BSの番組で(ティーバーで)こんなに回転したのは初めてと聞いています」と笑顔を見せた亀山社長。「ネットとの親和性もあるドラマだし、セカンドシーズンもやります。もう作ってます」と続編制作までフライング気味に発表。「こういうコンテンツをヒットさせて、僕の夢である映画化へという流れを作りたいと思います」と目を輝かせた。

 そう、「スマホで手軽に」の動画配信サービスの攻勢がなんだ。「全てのカギはコンテンツの魅力です」という言葉こそ正論中の正論だろう。無料で読めるネット記事全盛の中、苦戦中の「紙の新聞社」に務める私も「そう、最大の武器は記事の中身、面白さだ」と背中を押された1時間だった。(記者コラム・中村 健吾)

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