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桂歌丸さんが、松之丞、小痴楽ら「成金」メンバーに託した思い

2018年11月14日11時0分  スポーツ報知
  • 「桂歌丸追悼落語会」のロビーには歌丸さんの写真と色紙が飾られた
  • 吉野町市民プラザのネタ帳

 7月に亡くなった落語家・桂歌丸さんをしのぶ「桂歌丸追悼落語会」が10月23日、横浜・吉野町市民プラザで行われた。総領弟子の桂歌春を始め、一門弟子らが出演、落語のほかトークショーで歌丸さんのエピソードを披露した。

 同所のホールは定員200人と落語を聴くには最適の場所。歌丸さんが生涯を送った真金町からほど近く、1989年(平成元年)のオープンから歌丸さんは、定期的に何度も独演会を行ってきた。今年も1月には「ねずみ」をやると決めていたという。

 楽屋を訪ねると落語芸術協会の高橋巌プロデューサーが興味深い話をしてくれた。「最初は歌丸師匠が自分で“顔付け”をしていたんです」。自ら電話をかけて出演交渉した。電話で「歌丸ですが…」と名乗ると相手は驚き、なかなか信じてもらえない。まさか直接かかってこないだろうと「イタズラだな」と電話を切られてしまうことも度々あったという。

 晩年は、高橋さんがプロデュースするようになった。ネタ帳をパラパラめくると、歌丸さんが演じた様々な演目が並んでいた。高橋さんは言う。「何年か前に、『これからは若手を入れて行こう』とおっしゃって…」。ネタ帳には一昨年には講談師・神田松之丞の、昨年には春風亭昇々、桂宮治、柳亭小痴楽の名前があった。4人ともユニット「成金」で活動する二ツ目だ。

 歌丸さんの“指名”だった。「まずは講釈師を呼ぼうと…。松之丞は楽屋でずっと歌丸師匠を質問攻めにしていましたね」と高橋さん。昔の落語界のことや芸談などを矢継ぎ早に質問する松之丞に歌丸さんは丁寧に答えていたという。

 「成金」メンバーの中でも小痴楽は特に歌丸さんが目をかけていた。文京シビックホールで小痴楽の二ツ目昇進落語会に歌丸さんがゲスト出演したことがあった。出演料をどうしようか迷った小痴楽は楽屋で歌丸さんに封筒を差し出したという。

 その場に立ち会っていた高橋さんは言う。「歌丸師匠は『ハイ、ありがとう』とおっしゃって受け取って…。それをそのまま『ハイ、今日の打ち上げ代な』と言って小痴楽に渡していましたね」。相手を立てつつ、さりげなく丸く収める歌丸さん流の流儀を教えてくれた。

 粋なエピソードに心がほっこりするとともに、歌丸さんを取材した時の光景が次々に頭の中を駆けめぐった。楽屋で談笑する姿、真剣な表情で諭すように語る姿…。つたない質問でも丁寧に答えてくれたことを思い出した。

 高座で楽屋で、生き様を見せて天国へ旅立った歌丸さん。後輩に託した“思い”はこれからも受け継がれていく。(記者コラム・高柳 義人)

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