•  スポーツ報知のWebサイト限定コラムがスタートしました。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

ド緊張の紀香をサポート、劇団新派&松竹新喜劇の器の大きさ

2018年12月14日16時0分  スポーツ報知
  • 「二月競春喜劇名作公演」の製作発表会見に出席した(左から)藤山扇治郎、渋谷天外、水谷八重子、波乃久里子、藤原紀香

 今月12日、劇団新派と松竹新喜劇の「二月競春喜劇名作公演」(来年2月2~23日、東京・新橋演舞場)の製作発表会見を取材した。

 130周年の新派と70周年の松竹新喜劇が“合体”し、のべ200年という縁起のいい公演。報道陣からの注目は、新派の名作戯曲「太夫(こったい)さん」を改題した「華の太夫道中」に出演し太夫役に初挑戦するゲストの藤原紀香(47)に集まったが、紀香をバックアップしようと新派、松竹新喜劇の出席者のチームワークに「さすが!」と感嘆させられた。

 長い歴史を誇る2劇団のなかで、紀香は“新入り”のポジションであり、本人もだいぶ緊張していた様子。「みなさんの足を引っ張らないように…」と謙虚にコメントし、あくまでも先輩たちを立てていた。しかし「華の―」で紀香と共演し、遊郭のおかみ・おえいを演じる新派の波乃久里子(73)は自分のことそっちのけで「このステキなお洋服、見てあげて!」と紀香が着用している桂由美さんデザインのワンピースを紹介してあげたのだった。

 ワンピースは、歌川広重の筆で花魁(おいらん)が描かれた珍しいもので、紀香がこの日のために用意したものだったという。紀香の役にかける覚悟を“代弁”し「私はおえいを5回やっていますが、回数をやればいいってもんじゃない。新しく紀香さんと(舞台を)作っていきたい」と緊張をほぐしてあげていた。

 松竹新喜劇の渋谷天外(64)らも歓迎ムード。紀香の夫で歌舞伎俳優の片岡愛之助(46)の名を出し「愛之助さんがおらんかったら、私が口説いてます」とジョークを飛ばすと、藤山扇治郎(31)も「子役時代に愛之助さんによく遊んでもらったんです」と頭を下げ場を和ませていた。

 長い歴史や伝統を、その神髄をよく知る人たちだけで守りたいと思うことは当然のことだ。しかし彼らの場合は、劇団の身内だけで閉鎖的にまとまるのではなく、広く外に門戸を開き、そこに挑戦したいと思う人たちを心から歓迎する土壌があるのだと考えさせられた。時代に即して変化してきた演劇の歴史において、長く続く秘訣(ひけつ)のようなものを思い知らされたような気がした。(記者コラム)

コラム
注目トピック