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“M―1暴言騒動”で改めて知った「自分の意見を貫く」勇気

2018年12月19日16時0分  スポーツ報知
  • 優勝した霜降り明星のせいや(左)と粗品

 「M―1グランプリ」終了後に、とろサーモン・久保田かずのぶ(39)とスーパーマラドーナ・武智(40)が審査員だった上沼恵美子(63)への侮辱発言騒動は、上沼の「興味ない」の一蹴りで、とりあえず収束したようだ。

 だが、暴言を吐いた2人の未来は明るくはないだろう。とろサーモンの営業先のライブで、久保田の相方・村田秀亮(39)を直撃した際、「何にも分かりませんので…」と悲しそうな目でつぶやいたのが印象に残った。

 だが、さすがはプロ。そのライブで、村田は久保田を上手にコントロールして笑いに変えていたし、出演者の中でダントツにウケていたのは「M―1」で上沼に「(薄毛の)自虐はアカン」と酷評されていたギャロップ・林健(40)の非自虐的正統派ネタだった。客が入場料を払って「笑おう」と前のめりなライブ会場と、「さあ、笑わせてみせろ」というようなM―1会場との違いを改めて感じ、ライブの“空気”の恐ろしさを思い知った。

 記者も過去に何度か漫才レースの審査に参加したことがあり、ここ2年は読売テレビの「ytv漫才新人賞決定戦」の生放送で採点をさせてもらっている。ゲスト審査員の持ち点100点に対し、マスコミ審査員(記者10人)は各10点。満点の10を、漫才終了後に間髪入れずに付けるのは、結構勇気が要り、どっと疲れるが、昨年2月は「吉田たち」、今年2月は「霜降り明星」と、迷わず10点を入れたコンビが優勝し、ホッとした。

 採点基準はフラットな視点と会場の空気も考慮しているが、久保田や武智が批判していた「好み」も少なからず自己基準にはしている。記者の論評は表には出ないが、審査は千差万別、十人十色であるべきだと思うからだ。

 弊社の毎年恒例行事「報知映画賞」の2001年の審査が忘れられない。作品賞選考は「GO」と「千と千尋の神隠し」のほぼ一騎打ちだったが、当時下っ端だった記者は、遠慮がちに「個人的な好みでは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』だと思うんですけど…」。評論家の方が1人だけ「私もそう思います」と賛同していただいたが、審査参加者がほぼ見ていないだろう作品で、その良さを熱弁することもせず、腰を引いてしまった。

 「オトナ帝国」はのちのち、「嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」(02年)と並んで、名作と評価が高まったのはご存じの方も多いだろう。アニメ作品賞は昨年から設けられているが、当時あれば、確実に受賞していたはず。受賞作「GO」も文句なしの傑作だが、空気に押しつぶされ、自分の意見に自信が持てず、引っ込めたことを今も後悔している。逆転は不可能だったにせよ…。

 一方で、その年の洋画賞は、記者が思い切って口火を切って支持を広めた超伏兵的作品「ギャラクシー・クエスト」に。歴史ある賞の中でも異色の作品だが、自分でもナイスジョブだったと思う。演じるとは何か、役者の存在価値とは何なのかまで考えさせられる傑作SFコメディー(未見の方はぜひ!)。揺るぎない自信で、周りを気にせず採点する。今後も、あらゆるジャンルで審査する機会があれば、その姿勢を忘れたくない。M―1騒動を良い意味で教訓にしなければ。

 ところで、スポーツ報知22日掲載紙では、担当している宝塚歌劇の2018年公演を、記者が独断で選ぶベスト作を発表します。これで4年連続の実施。読者はがきには「このコーナー、要らない」「意見が偏りすぎ」との声を何度かいただいたが…。批判も大歓迎。勉強させていただきます。(記者コラム・筒井 政也)

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