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「いだてん」、ピエール瀧容疑者逮捕の逆境を「ミラクル」な映像で挽回できるか

2019年3月16日8時0分  スポーツ報知
  • NHK大河「いだてん」に出演する(左から)阿部サダヲ、中村勘九郎と、脚本の宮藤官九郎

 NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(日曜・後8時)で、第10回(10日放送)から日本人が初めて五輪に参加した「ストックホルム編」がスタートし、序盤のヤマ場を迎えている。そんな中、出演者のピエール瀧容疑者こと瀧正則容疑者(51)が麻薬取締法違反の疑いで12日に逮捕された。

 ドラマ序盤で起きた衝撃の事件。人気俳優が一夜にして、容疑者となった。スタッフらは対応に追われ、NHKは容疑者が出演する6回分のオンデマンド配信を停止した。

 多くの関係者の胸中を思うといたたまれない。本作は脚本の宮藤官九郎氏(48)と制作統括の訓覇(くるべ)圭氏(51)が5年前から、構想を練ってきた。瀧容疑者は足袋店の店主・黒坂辛作役で、主演の歌舞伎俳優・中村勘九郎(37)演じるマラソン選手・金栗四三を支える重要な役どころを任された。

 瀧容疑者は逮捕当日も収録に参加しており、その日の尿検査で陽性反応を示した。撮影期間にコカインを使用していた可能性が高いとされる。一体、どんな気持ちで演じていたのだろうか。

 視聴率で苦戦する中、出演者に足を引っ張られた格好だ。平均視聴率は第6回で大河史上最速の1桁台に突入し、第10回で自己最悪の8・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。

 訓覇氏は「初回から5回までは凝った作りなので、見るのに集中力が必要だった」と分析しつつ、第6回以降は「ストレートなドラマで分かりやすい」と説明。初回は、第5回までのダイジェスト版でスタートするという斬新な試みだった。

 「ストックホルム編」は、金栗と生田斗真(33)演じる短距離選手・三島弥彦が、1912年のストックホルム五輪に挑む姿を第13回(31日放送)まで描く。撮影は、昨年8月、スウェーデンの首都・ストックホルムに現存する最古の五輪競技場を中心に3週間行われた。

 大河で五輪の再現や、長期海外ロケは極めて異例。文化の違う現地スタッフと激論を交わしながら、「ミラクル」なシーンの撮影に挑んだ。脚本の宮藤官九郎氏(48)も、競技場を埋め尽くす観衆の映像に「僕の中ではボヘミアン・ラプソディ級」と喜んでいたという。

 先日開かれた試写会に、記者も参加した。目の当たりにした競技シーンは迫力に満ち、異国の地で大舞台に立つ選手たちの内面が深く掘り下げられていた。水浴びと走る事が好きで、どこか浮世離れした感のあった金栗が主張し、苦悩する。“人間・金栗四三”に共感する人も多いはずだ。

 17日放送の第11回で五輪が開幕する。逆風の中、制作トップが「ミラクル」と称えた映像の力で挽回できるか。見守りたい。(記者コラム)

 〈いだてん~東京オリムピック噺~〉 勘九郎と、新聞記者で水泳の指導者である田畑政治を演じる阿部サダヲの主演リレー形式。熊本出身の金栗が、講道館柔道の創始者・嘉納治五郎(役所広司)が校長を務める東京高等師範学校に進学し、ストックホルム五輪に挑む。田畑は東京五輪実現のため、64年の五輪招致に奔走。組織委員会事務総長として成功に導く。

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