高山善廣の全快祈りプロレス界初クラウドファンディングで支援興行

スポーツ報知
「TAKAYAMANIA」のフィナーレで「ノーフィアー」ポーズを決める参加レスラーたち(前列中央が高山夫人の奈津子さん)

 リング上の事故で、頸(けい)髄完全損傷を負い長期入院生活を送っている高山善廣(51)を支援する「TAKAYAMANIA」運動は、事故から1年4か月たっても勢いを増している。8月31日には東京・後楽園ホールでプロレス界初のクラウドファンディング興行「TAKAYAMANIA EMPIRE」が開催され、盟友・鈴木みのる(50)=パンクラスMISSION=らが激闘を繰り広げた。高山は病室からビデオメッセージで感謝を伝えた。(酒井 隆之)

 「TAKAYAMANIA EMPIRE」には、「ノーフィアー」で高山の相棒だった大森隆男(48)、秋山準(48)、永田裕志(50)、天山広吉(47)、丸藤正道(38)、里村明衣子(38)ら新日本、全日本、ノア、大日本など16団体から37選手が友情参戦し、7試合が行われた。

 高山は昨年5月4日のDDT大阪・豊中大会で前方回転エビ固めを仕掛けようとして頭からマットに落下。首から下が動かない頸髄完全損傷と診断され、長期入院生活を余儀なくされている。「帝王」の異名を誇った高山を支援しようと計画された今回のイベントは、業界初のクラウドファンディングで行われた。5000円から2万円の観戦チケット(ロゴ入りの黄色いシリコンバンド)に加え、リングアナウンサーできる権(5万円)、セコンド入場権(5万円)、ゴング打鐘権(3万円)、花束贈呈権(2万円)などユニークな支援を募集し、目標金額800万円のところ、20日前に933万5000円を集めて締め切られた。

 高山のマネジャーで実行委員会をまとめた石原真さん(47)は「TAKAYAMANIAは、団体ではないので、運営費はゼロから集める必要がありました。特定の組織が主宰するのではなく、みんなの思いで形にして高山に届けたかった」と話す。

 メインイベントを飾ったのは、IWGPタッグ王者時代にパートナーだった鈴木みのる。NOSAWA論外(41)、MAZADA(43)と組んで、太陽ケア(42)、TAKAみちのく(44)、近藤修司(40)との6人タッグマッチに登場した。場外乱闘では、解説席にいた佐々木健介氏(52)、小橋建太氏(51)を挑発し、引退している2人からチョップを食らうシチュエーションを自ら作って盛り上げ、最後はゴッチ式パイルドライバーで20分51秒、TAKAみちのくを体固めで仕留めた。

 マイクアピールを期待する観衆を静めて、大型ビジョンに注目させると、病室の高山からビデオメッセージが。手術で喉を切開したため、発声時に空気が漏れて聞き取りにくく、字幕付きだった。「厚いご支援を頂いて、この場を借りてお礼を申し上げます。次回どうなるかわかりませんが、足で蹴る感覚がちょっと出てきたのが分かりましたので、悪さばかりをしている鈴木みのるの顔面をビッグブーツできるのを僕自身も楽しみにしています。それまで、鈴木みのる、待ってろよ! みんな、ありがとう! また会おう!」とコメントを絞り出した。

 リングでマイクをつかんだ鈴木は「こいつ、寝てばっかのくせに、俺にケンカ売りやがった。ああ、そうかい。いつまで寝てるんだ、高山。俺は、お前がここに上がってくるまで、プロレス界の王の座で待ってる。そんなとこでくたばんじゃねぇぞ。てめぇのとどめは俺が刺してやる」と言い放った。

 最後は超満員札止め1500人の観衆が総立ちになって「高山に届け! ノーフィアー!」と帝王の決めポーズで締めた。鈴木はリングから会場出口に直行し、募金箱を持って支援者にあいさつし続けた。高山が来場できるようになるまで、TAKAYAMANIA運動は続く。

 ◆高山 善廣(たかやま・よしひろ)1966年9月19日、東京・墨田区生まれ。51歳。東海大卒。92年6月28日、UWFインターナショナル博多スターレーン大会の金原弘光戦でデビュー。IWGP、3冠、GHCの3大ヘビー級王座のほか、NWFヘビー級、爆破王も奪取。大森隆男とのノーフィアーで世界タッグ、アジアタッグ、GHCタッグを獲得。安生洋二、山本健一とのゴールデンカップスでWAR世界6人タッグ王座にも就いた。異名は帝王。得意技はエベレストジャーマン、ビッグブーツ。全盛時は196センチ、125キロ。

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