元プロボクシング日本王者鈴木悟、プロレスデビュー戦で勝利も「しんどかった 死ぬかと思った」…ヒートアップとどろきアリーナ

スポーツ報知
プロレスデビューを勝利で飾った鈴木悟(左。右はパートナーの飯塚)

◆ヒートアップ(31日、川崎とどろきアリーナ)

 元プロボクシング日本ミドル級王者でプロレスラーに転向した鈴木悟(42)が31日、神奈川・川崎市のヒートアップ「とどろきアリーナ」大会でプロレスデビューを果たした。

 鈴木は初陣で飯塚優(21)と組んで、現BJW世界ストロングヘビー級王者で2017年東京スポーツ制定プロレス大賞技能賞の鈴木秀樹(38)、渡辺宏志(27)組と対戦し首固めで渡辺をフォールしデビュー戦を白星で飾った。

 ボクシング時代から変わらない入場テーマソングの小柳ゆきの「愛情」に乗って花道に登場した鈴木は、黒のショートタイツ姿でリングイン。軽快なシャドウボクシングで観客を沸かせたが、ゴングが鳴るといきなりプロレスの洗礼を浴びた。

 鈴木秀樹に場外乱戦に持ち込まれ、イス攻撃を浴び早くもグロッキー状態。青息吐息でリングに戻ったがサイドスープレックス、パイルドライバーを立て続けに浴び「死ぬかと思った」とプロレスの厳しさに苦笑いを浮かべた。

 デビュー戦に備え、特訓した左右のパンチを乱打する必殺技「SSC(Suzuki Satoru Cyclone)」を鈴木秀樹へ繰り出すもレフェリーから「プロレスはパンチはダメなんだ」と反則に取られたが最後は、首固めで巧みに渡辺を丸め込みフォールを奪った。

 試合後、鈴木は「しんどかったです。今できることはすべて出し切れたと思います」と42歳のデビューに笑顔を浮かべた。試合前は「負けたくないと思ったし、何もできないんで終わるんじゃないかという不安もあった」と明かしたが、SSCを繰り出し「唯一打撃は生かせたと思います」と胸を張った。

 鈴木は、97年にプロボクシングデビューし、翌98年に全日本ミドル級新人王を獲得。2000年に保住直孝を破り日本ミドル級王座を奪取、以後、9連続防衛に成功し03年7月に王座陥落するも05年2月に再び同王座を獲得した。05年10月からはK―1に転向し魔裟斗ら強豪と対戦。10年からシュートボクシングに参戦し11年9月に日本スーパーウエルター級王座を獲得し、ボクシングとシュートボクシングの異種格闘技で2冠王を達成した。

 今夏に「子供のころからの憧れだったプロレスラーに挑戦したい」とプロレス転向を決意。以後、ここまで連日、3時間に渡る道場での練習とウエイトトレーニングで肉体改造に取り組んできた。「体作りとプロレスの基本を徹底的に練習してきました。受け身をしっかり取って、組んで投げてを反復してきました。始めは体中が痛くて大変で初めてやることなのでハードでした」と振り返った。猛練習の結果、体重は自己最高の90キロに達し「プロレスのトレーニングをしていると、体が自然と大きくなってきました」と明かした。

 デビュー戦では初の場外戦も経験し「びっくりしました。場外乱闘は練習でもないことなので」とプロレスならではの洗礼を浴び表情を引き締めた。次戦は年内にも行う予定で「これでどういうものか分かったので練習の意識が変わると思います。もっとしっかりしたプロレスができるようになりたい。一戦、一戦しっかりした試合をして勝つ。その先にチャンピオンとかあると思う。今日は一歩が踏み出せた」と見据えていた。

 

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