52歳・飯塚高史、引退試合でも狂乱ファイト全開!33年のリング生活に無言のまま別れ

スポーツ報知
引退する飯塚高史は最後まで凶器のアイアンフィンガー・フロム・ヘルを手に最後まで狂乱ファイトを展開した(カメラ・中村 健吾)

◆新日本プロレス「NEW JAPAN ROAD」 ▽飯塚高史引退記念試合6人タッグマッチ60分1本勝負 〇天山広吉、オカダ・カズチカ、矢野通(22分14秒 ムーンサルトプレス→体固め)鈴木みのる、タイチ、飯塚高史●(21日、東京・後楽園ホール、観衆1726人札止め)

 ベテラン・飯塚高史(52)がメインイベントの6人タッグで33年間のリング生活に別れを告げた。

 1986年にデビュー。08年以降、頭をスキンヘッドにし、ラフファイト全開のヒール(悪役)レスラー「クレージー坊主」として活躍してきた52歳は、メインイベントの6人タッグマッチで鈴木みのる、タイチと組み、矢野通、天山広吉、オカダ・カズチカ組と対戦した。

 いつも通り、満員札止めの会場を悲鳴の渦に巻き込んで、2階席に突然、登場。客席を徘徊(はいかい)しながら、リングに向かった飯塚。応援に訪れたアイドルグループ「ももいろクローバーZ」の4人の呼びかけも全く無視してリングインした。

 「友情タッグ」を組んでいた天山の「飯塚! 目を覚ませ」という呼びかけも完全に無視し、この日もイス攻撃にかみつきとラフファイント全開。一方で鍛え上げた181センチ、107キロのボディーで、ヒール転向前の必殺技「魔性のスリーパー」にビクトル式ヒザ十字固めも繰り出し、サンボ修業仕込みの本来の実力を披露した。

 最後は過去を振り切った天山が飯塚の体に友情Tシャツをかけた上で必殺のムーンサルト・プレスを炸裂させ、3カウント。リングに倒れ伏し、失神状態の飯塚の体に覆いかぶさった天山が号泣も、再び起き上がった「クレージー坊主」はさらに大暴れを見せた。

 観客の最後の最後に本来の真面目な飯塚に戻ることを期待した「飯塚」コールがあふれる中、リングの中央で天山の号泣しながらの「飯塚!」という呼びかけに頭をかきむしり苦悩。ついに震えながら握手した瞬間、大きな拍手が巻き起こったが、その直後に天山の頭にかみついた飯塚。必殺の凶器「アイアンフィンガー・フロム・ヘル」まで取り出し、天山を殴打し、KOしてしまった。

 「鈴木軍」の同僚・タイチの「飯塚、本当に引退するのかよ。最後くらい自分の声でちゃんと答えろよ。コノヤロー」というマイクも無視し、再び観客席を徘徊。悲鳴と涙まじりの「飯塚」コールが交錯する中を「ウォー」と叫びながら退場。引退会見があるのかと後を追った取材陣すらも振り払って、汗まみれでバックステージに消えた。

 引退セレモニーも全く無し。最後は「鈴木軍」の総帥・鈴木がゴングを持ち出し、勝手に引退のテンカウントを鳴らす始末だった。

 引退試合でも全くのノーコメントは前代未聞。試合後の天山の「彼の生き様、思う存分、見せてもらいました」という言葉こそがレスラー生活33年の最大の勲章か。最後の最後まで「ヒール道」を貫いたベテランレスラーの美学に徹した幕引きだった。(中村 健吾)

 ◆飯塚 高史(いいづか たかし) 1966年8月2日、北海道室蘭市生まれ。52歳。本名及び旧リングネームは飯塚孝之。1985年5月、新日本プロレス入門。86年11月2日、野上彰(現・AKIRA)戦でデビュー。89年、馳浩とグルジアでサンボ修行。エル・サムライ、野上との3人で「新世代闘魂トリオ」を結成し、スリーパーホールドを武器に活躍。08年、天山広吉との「友情タッグ」を結成。同年4月に真壁刀義、矢野通組が保持するIWGPタッグ王座に挑戦も試合中に天山を裏切り、ヒール転向。以降は頭をスキンヘッドにし「クレージー坊主」として無言を貫き、入場時には観客席を破壊する狂乱ぶりを披露。鉄製の凶器「アイアン・フィンガー・フロム・ヘル」を使用する悪役として活躍。テレビ朝日の野上慎平アナウンサーを試合のたびに襲撃することでも話題を呼んだ。

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