【巨人】覚悟の岡本打線…長嶋さん「何があっても動かさない」松井育成とダブる

スポーツ報知
2回無死、左越えソロを放った岡本をハイタッチで迎える高橋監督(中央)(カメラ・中島 傑)

◆日本生命セ・パ交流戦 オリックス3x―2巨人=延長12回=(2日・京セラドーム大阪)

 巨人の新主砲がど派手なデビューを飾った。第89代4番に座った岡本が2回の1打席目で本塁打。07年の阿部以来、4人目の快挙と同時に、自身初の2ケタとなる10号となった。高卒4年目以内での大役は、松井秀喜以来23年ぶり。21歳の若き大砲は8回にも適時打を放ち、この日の全打点を挙げて延長にもつれ込ませたが、12回、池田があと1死で引き分けの状況で踏ん張りきれずサヨナラ負け。京セラDでのオリックス戦連勝も9で止まり、一夜にして4位に後退した。

 由伸監督は頼もしそうに岡本を見上げ、左手でタッチを交わした。4番抜てきから、いきなりの一撃。うれしさよりも「ホッとした」が本音だろう。

 ついに、岡本を4番打者に指名した。開幕以降、チームを引っ張る活躍を見せ、6番からスタートした打順は5番、そして3番にまで飛躍。ただ、ゲレーロやマギーが調子を落としても4番にだけは据えなかった。理由を問うと「今はまだそういう流れではないんじゃないか」と言う。

 先日、長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督にも尋ねた。岡本をどのタイミングで4番にするべきか―。

 1993年。長嶋監督は入団1年目の松井に対し、1000日かけて4番に育てる計画を打ち立てた。ちょうど4年目の96年に、開幕4番に指名。経緯は違えど、岡本と重なる部分を感じながら、こう返答した。

 「高橋監督はタイミングを待っていると思うよ。一度でも4番に置いたら動かしてはいけない。何があっても動かさない覚悟ができたら4番にすると思う。松井を4番にした時がそうだったからね」

 由伸監督は長嶋監督の下で野球を学び、松井秀喜とはともに戦った。そんな系譜をたどり「松井さんは打ってほしい時に必ず打ってくれる4番だった」という理想像を持つ。岡本をゴジラと重ね合わせながら、成長をじっと見守り、4番に必要な体の強さも確認しながら、慎重にここまできた。

 覚悟は決まっている。今年は岡本中心の打線を組み、岡本中心で戦っていく―。この試合では亀井を1番、初スタメンの田中俊を2番に据えるなど大胆なオーダー変更を試みたが、4番ありきの打線だ。そんな重い期待に、新4番は応えた。再スタートの門出だけに、何とか勝利で祝いたかった。(水井 基博)

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