【巨人】3連敗・由伸監督に原さん提言「腹を決めて裏の裏をかけ」

スポーツ報知
1回1死一、三塁、空振り三振した岡本(手前)を厳しい表情で見つめる高橋監督ら巨人ベンチ(カメラ・生澤 英里香)

◆日本生命セ・パ交流戦 巨人1―4楽天(5日・東京ドーム)

 巨人は楽天との3連戦初戦に敗れ、3連敗となった。初回無死一、二塁の好機を逃すなど8安打で12残塁。5回、岡本の左翼フェンス直撃タイムリーの1点だけに終わった。相手先発の古川に、今季5人目となる「プロ初勝利献上」。最下位(中日)とはわずか0・5ゲーム差だ。巨人前監督の原辰徳氏(59)が特別観戦記を寄せ、4番・岡本の成長に目を細めながらも、接戦をものにするための方策などを説いた。(構成・高田 健介)

 岡本が打った2安打には成長の跡を感じ取った。6番打者として迎えた開幕から成績を残して4番を勝ち取った。チームもなかなか勝率が上がらない中で、打線全体に活を入れている意味合いも込めて高橋監督は「岡本、任せた」と送り出したのだろう。

 今年は「フルスイングする」という信念を貫いている。結果が欲しいあまり、ボールに当てにいくようなこともない。右打者は右サイドにしっかり重心を残してボールを呼び込んで打たないと、強い打球は生み出せない。5回の適時打は、重心を残す意識が高いから、直球待ちでも低めのフォークをすくえた。7回の中前打も、重心が残っているから、バットの芯を外れてもボールを押し込めている。

 私も巨人の4番を務めてきた。川上さん、長嶋さん、王さんなど偉大な方々の後を受け継いだ。自分やチームの調子がいいときも悪いときも、全て受け止めるのが巨人の4番だと思っていた。打てなければいろいろ言われるが、それも受け止めようとしてきた。岡本には「淡々とこなす」ではなく「どっしりと」した4番になってもらいたい。

 最近は1、2点差の試合をものにできない戦いが続いている。最終的に勝負を分けるのは、僅差の試合をどう勝つかだ。五分五分の戦いをいかに、六分四分にするかを考えて、高橋監督は流れが停滞したときこそ「リスクはベンチが取る」と腹を決めて、思い切った采配をしてほしい。

 5回2死で田中俊が盗塁を決めた。ただその前の1死の時、カウント2―2でスタートを早めに切りすぎて慌てて一塁に戻ったシーンがあった。相手ベンチは「これでサインはないだろう」と思うはず。事実、けん制球なしで次のボールを投げた。裏の裏をかいて、ここで盗塁やエンドランのサインを出しても面白かった。失敗したらベンチの責任。成功すれば選手をたたえればいい。岡本や田中俊、吉川尚と若手が増えてきた。彼らに足りないのは経験で、いろいろな野球に触れさせて成功を味わうことでチーム力も上がっていく。そのきっかけをベンチが与えることが必要だし、若手の経験値が増えれば、僅差をものにできる可能性は高くなる。

 あと1本出ればとか、あの場面は惜しかったと、論じるのは周りであって、ユニホームを着ている以上、まずは何が課題で反省材料かを見極めなくてはいけない。「今日の反省はこうだ、明日からはここに気をつけよう」と試合後にチーム全体でミーティングをやって、首脳陣がメッセージを伝えたっていい。一番いけないのは、悪い流れに身を任せること。昨年の悔しさを知っているチームだからこそ、しっかり引き締めてほしい。(巨人軍前監督)

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