【巨人】亀井、3度目の猛打賞と申告敬遠 4出塁に「どっと疲れが出てきました」

◆日本生命セ・パ交流戦 巨人3x―2西武(10日・東京ドーム)
サヨナラ勝ちの余韻に浸りながら、亀井は歩いた。ヒーロー大城に群がる歓喜の輪に交ざりたくても体が動かない。「三塁ベースを回ったところで勝ったかな、と。どっと疲れが出てきました」と笑った。今季3度目の猛打賞で、9回1死二塁で申告敬遠。4出塁のおじさんは試合後、約1時間以上も体をケアして帰路についた。
ベテランらしい“読み”で、はじき飛ばした。1点リードの2回1死。ベンチでは、初回にウルフ相手に先頭弾をマークした坂本勇から、ボールの軌道を確認した。「結構、球が動いているというので強引にいかないようにした」。普段は打席内で構えた際、体全体を小刻みに揺らしてリズムを取るが、動く球に自分が動いては「目線がブレちゃうので(笑い)」と静止。真ん中付近のカットボールを右翼席へ運び、5号ソロ。多少、突っ込み気味も「うまく引っかかった」と胸を張った。
打率は3割1分4厘。チーム3位のハイアベレージを誇る。そんな中でも「ずっと続けていくことが大事」と甘んじることはない。常に、頭の中には“あの時の悔しさ”があるからだ。
一躍ブレイクした09年。亀井は主に5番打者として134試合に出場、打率2割9分、25本塁打、71打点を残した。スター街道を上りかけたが、翌年からケガも重なって急降下。首脳陣の期待に応えられず、手厳しい批判やバッシングにも遭った。「周囲の目が怖くなった。誰も信用できなくなって、当時は人間不信に陥った」。プロの世界の厳しさを身をもって知ると、男は変わった。オフの過ごし方、体のつくり方、走り方まで一から見直し、ケガへの不安を振り払うことで自信を取り戻していった。
昨年は代打の切り札として復権。今年はレギュラーとして由伸監督を支えている。超一流の打撃技術に、人生という深みが増し、頼れる亀井へと成長。「打点を稼ぐことが一番勝利に貢献できる。6番はチャンスで回ってくるので」と話す姿に、再ブレイクの予感が漂った。(水井 基博)