【巨人】小林、3連勝呼ぶ“新満塁男”だ!危機感を原動力に大暴れ

スポーツ報知
2回2死満塁、左中間へ走者一掃の二塁打を放った小林(カメラ・相川 和寛)

◆日本生命セ・パ交流戦 ソフトバンク2―8巨人(12日・福岡ヤフオクドーム)

 巨人は序盤に打線が爆発して、5月11日以来、約1か月ぶりの3連勝を飾った。ヒーローは“新・満塁男”の小林だ。2回2死満塁、武田から走者一掃の先制3点二塁打。これで今季、満塁では6打数4安打、12打点と暴れまくる。3回1死二塁では得点圏打率リーグトップの亀井が2試合連続の6号2ランで突き放した。先発・山口俊は、7回1失点と好投。5勝目を挙げた。チームはヤフオクDで2013年以来、5年ぶりの白星となった。

 どこか控えめだったが、突き上げた両腕には力がこもっていた。小林がガッツポーズを見せた。「追い込まれていたので、よりコンパクトなスイングを心がけました。あそこで打てて(守備面で)自分も楽になりました」。0―0の2回。2死満塁から武田の外角147キロを捉えると、打球は左中間を深々と破った。阿部が、亀井が、吉川尚が、雄たけびを上げながら生還。走者一掃の一打で、5月16日のヤクルト戦(鹿児島)以来、約1か月ぶりの打点をマークした。

 今季、小林にとって最大の原動力は危機感だろう。昨秋のドラフトで、チームは大城、岸田と即戦力捕手を指名。侍ジャパンでブレイクし、正捕手として独り立ちしつつあっただけに胸中は複雑だった。「まず初心に戻らないと。僕なんか、油断したらすぐに終わってしまう選手なので…」。オフ期間中はイベントに引っ張りだこで全国各地を飛び回ったが、飛行機移動の際はあえてエコノミー席を選び、身を縮ませた。手段はどうであれ、小林なりの戒めだった。

 開幕からロケットスタートを決めた。「もう『自動アウト』と呼ばれないようにしたい」と猛特訓を重ねてきた成果か、「自動ヒット」ともいえるような好調ぶりで、4月終了時には打率3割5分7厘をマークした。だが、5月に入ると失速し始め、交流戦直前にはコンディション不良にも見舞われた。大城との併用が増え、その大城は10日の西武戦(東京D)、小林の代打としてサヨナラ打を放った。

 だが、心は折れなかった。球宴のファン投票中間発表では、セ・パ両リーグの捕手で最多得票の座をキープし続けている。「一、十、百…え、20万も? これはうれしいですね。もっと頑張らないと」。予想外にケタが大きかったのか、すぐには頭に入って来なかった。危機意識の強さから自らを過小評価していたが、ファンの見方は違った。球界NO1捕手として認められたことは、気持ちを奮い立たせるには十分だった。

 ヤフオクDでのソフトバンク戦は14年から5連敗中だったが、小林のバットで負の連鎖を止めた。「最初(2アウトになる前)に打ってくれれば楽なんだけど、誠司が勝負強く打ったね、あの場面でね」と由伸監督。経験も実績も、着実に重ねている。そろそろ、自分を信じてもいい頃だろう。(尾形 圭亮)

 ◆満塁男 巨人で満塁男といえば83年4月10日の大洋(現DeNA)戦で、NPB史上初の“初打席満塁本塁打”をマークした駒田徳広。同年は12打数7安打の打率5割8分3厘。93年まで在籍し、通算でも98打数31安打(5本塁打)の3割1分6厘。94年に横浜移籍後は、さらに勝負強さを増し、6年連続の8本塁打を含む122打数42安打の3割4分4厘。チームが日本一に輝いた98年はシーズン31打点(打率5割、2本塁打)をたたき出した。なお、ONの満塁での通算成績は、長嶋茂雄が3割3分、7本塁打、王貞治は3割3厘、15本塁打だった。

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