【巨人】鉄壁二塁手・吉川尚&第89代4番・岡本が前半戦振り返る…対談(上)

スポーツ報知
チームを支える吉川尚(右)と岡本が対談、ポーズを決めて写真に納まる(カメラ・中島 傑)

 若手で前半戦の巨人を引っ張った、吉川尚輝内野手(23)と岡本和真内野手(21)によるスペシャル対談が18日、実現した。吉川尚は驚異的な守備範囲で二塁のレギュラーの座を託され、岡本も第89代4番としてチームを支えている。交流戦までの振り返りや、お互いの印象などを語ったインタビューを2回に分けてお届けします。(取材・構成=後藤亮太、玉寄穂波)

 ―2年目で初の開幕スタメンをつかんだ吉川尚は、ここまで全64試合中63試合に出場。チームにとって長年の課題だった二塁のレギュラーとしてチームに欠かせない存在となった。ここまでを振り返って。

 吉川尚(以下、尚)「そうですね。交流戦を終えてですか。苦しかった。毎日つらいです。シーズン、長いですよね。まだ6月だし、全然先のことが分からないです。必死にやっていくしかないという感じで、一日一日を過ごしているという感じです」

 ―一方、岡本は交流戦期間中の2日のオリックス戦(京セラD)から第89代4番に座り、ここまで全64試合に出場し、リーグ2位の打率3割3分2厘、チームトップの12本塁打、チーム2位の43打点と堂々の結果と残している。昨季までとの違いで感じる部分は。

 岡本(以下、岡)「僕も去年はほぼファームにいたので、やっぱり緊張感とかが違います。しんどいですよね。やっぱり」

 尚「しんどいですよ」

 岡「ミスしてはいけない場所じゃないですか。ここ(1軍)は。それが難しいところですよね」

 尚「毎日1軍にいるのが今年初めてなので。やっぱり、疲れとかもファームの時より全然違いますし、これだけ大観衆の前で野球をやっていることが去年とは全く違います。楽しいという感覚はないです。緊張感があるので、毎日吐きそうになりながらやってきたというか…いい緊張感の中でやれています」

 ―互いにドラフト1位で入団するなど、大きな期待を背負ってプロの世界に入った。

 尚「こっち(岡本)は本当のドラ1じゃないですか。単独だったので」

 岡「いやいや」

 尚「僕は外れ外れ1位【注】だったので、1位じゃないですよ(笑い)」

 岡「どこのチームでも上位(指名)ですよ」

 尚「だから実質3位なんですよ(笑い)」

 ―昨季はともに2軍が主戦場だったが、去年と今年で互いのプレーで変化を感じる部分はあるのか。

 岡「尚輝さんは入って来た時からすごかった。去年、ファームにいたことが逆に不思議だった」

 尚「(岡本は)覚醒しましたね。まじで」

 岡「そんなもんじゃないですよ(笑い)」

 尚「去年との違いはなんだろうな? 去年よりは(岡本は)ぼーっとしてないです。たまにぼーっとしてる時はあるけど、去年は本当にスイッチ入らなかったから…(笑い)。(外野に)フライが飛んできたら『あぶね、あぶね』って。センターフライとかも『見えん、見えん』って言っていたので」

 岡「やばいですよ」

 尚「だから、ぼーっとしなくなりましたね。集中してる」

 ―今季は開幕から2人で一、二塁間を形成している。岡本は隣にいるからこそ、驚異の守備範囲でチームを支えている吉川尚のすごさを体感している。

 岡「(僕は)去年は外野を守っていましたけど、人と一歩目が違うし、ヒットだなと思ってても尚輝さんはアウトにしていた。だから、他の人が(二塁を)守っていても、尚輝さんの感覚で見てるから『あっ、アウトだ』と思ってもヒットになることもあった。今、僕はファーストなので楽ですよね。楽っていうか、ある程度全部(捕りに)いってくれるので、楽にファーストベースに集中できています」

 尚「守備キャラじゃん。(今度から)守備キャラでいくわ」

 ―驚異的な守備範囲でチームを救う美守を何度も見せている吉川尚だが、打撃でも5月13日の中日戦(東京D)でプロ初本塁打を平成の怪物・松坂(中日)からマークするなど、パンチ力もある。

 尚「打てていないですよ。ホームランも何が起こったか分からなかったです。奇跡です」

 ―岡本は打順別でも4番の打率(3割5分2厘)が最も高い。長いシーズンを戦っていく上で、試合ごとの気持ちの切り替えなどはどうしているのか。

 岡「僕は(ミスをしたら)取り返そうと思いますね。引きずるといったら引きずるタイプですけど、今年はポジティブキャンペーンをやっているので、気にしないようにはしています」

 尚「引きずることは僕はないです。その日は引きずるかもしれないけど、また試合なので。次の日になったら大丈夫です」

 岡「(去年は)引きずってましたけど、引きずるほどのミスは試合に出ていなかったのでなかった。今年が実質初めてなので、勝敗に関係するミスは試合に出させてもらってから出てきたこと。そういうのはちょっと引きずったりしますけど、次同じことをしなければいい。毎日試合はあるので、切り替えできないといけないと思ってやってます」

 ―今季は吉川尚、岡本に加え、ルーキーの田中俊、大城ら若手野手の台頭が光る。ただ、1軍の舞台でレギュラーとして戦うようになったからこそ、何年もレギュラーとして戦っている阿部、坂本勇らのすごさを感じるという。

 尚「まさに(9日の)西武戦で(坂本)勇人さんの3ランで逆転して、阿部さんの3ランで引き離して競った試合を勝った。そういうところを見ると改めてすごいなと。すごいというか、一回りレベルが違う人と野球やってるんだなって思ったりします。すごいとしか言いようがないです。何を話しかけていいかも分からない。(喜んで)ウエーイなんてできないですし」

 岡「(今年)ずっと僕らは試合に出させてもらってるじゃないですか。それを先輩たちは、10年以上ずっと1軍でバリバリにやっている。すごいですよね…」

 尚「コンスタントに(打率)3割の成績を残すというのがね」

 岡「僕たちは1年やったことないので、その時点でしんどいことなんですよね。そうした中、ずっと1軍で戦ってきて、チームを引っ張って、勝たせてというのは、本当に尊敬します」

 ―坂本勇は昨年まで10年連続で遊撃で100試合先発出場。その間、二塁で100試合以上に先発出場した二塁手は、藤村と片岡だけだった。

 尚「(姿を見て)勉強になるというより、それこそ勇人さんがいなかったら、このチームはどうなってしまうのかなと…。本当にすごいですよ」

 ―レギュラー陣の中では若手の2人は、互いの存在が活躍を支えていると自覚している。

 岡「やっぱり尚輝さんがいてくれているので、その辺はちょっと気が楽ですよね。年が近い人がいるっていうのはすごい気が楽です」

 尚「僕も一緒です。亀井さん、ダイさん(陽)、勇人さんとか10個ぐらいみんな(年が)違うので。(岡本とは)年も近いから話しやすいですし、話も聞きやすい。まあ、僕は岡本さんのおかげで何とかセカンドを守らせてもらってます。岡本さんが打ってくれるので」

 岡「ちょっと、(そんなこと言ったら)やばいですって(笑い)」

 尚「岡本さんが打つので僕はポジション与えてもらえていると思っているので。岡本さんさまさまです」

 岡「関係ないです。僕は(笑い)」

 ―次回に続く

 【注】16年ドラフトで巨人は創価大・田中正義を1位で、桜美林大・佐々木千隼を外れ1位で指名したが、ともに5球団競合の末に外した。

 ◆岡本 和真(おかもと・かずま)1996年6月30日、奈良県生まれ。21歳。智弁学園高では1年秋から4番。3年の春夏に甲子園出場し、春には1試合2本塁打を記録。高校通算73本塁打。2014年ドラフト1位で巨人入団。15年9月5日のDeNA戦(横浜)、代打でプロ初安打初本塁打を記録した。今季は64試合で打率3割3分2厘、12本塁打、43打点。通算は99試合で、打率3割、13本塁打、49打点。185センチ、96キロ。右投右打。年俸1200万円。

 ◆吉川 尚輝(よしかわ・なおき)1995年2月8日、岐阜県生まれ。23歳。中京高から中京学院大に進み、2016年6月の全日本大学野球選手権で優勝。16年ドラフト1位で入団。今季は63試合で打率2割2分6厘、2本塁打、14打点、8盗塁。通算では68試合で打率2割2分8厘、2本塁打、14打点、9盗塁。177センチ、79キロ。右投左打。年俸1380万円。

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