【巨人】陽&宇佐見、連続2点二塁打で逆転勝ち

◆巨人6―5DeNA(3日・東京ドーム)
巨人が息詰まる接戦を制して9連戦の初戦に勝ち、連勝を3に伸ばして3位に浮上した。6回に坂本勇の2ランで同点に追いつくと、2点を勝ち越された7回には陽、代打・宇佐見の連続2点二塁打で逆転。8回にリリーフした沢村が1点差とされた直後に危険球退場するアクシデントが発生したが、緊急登板したマシソンがイニングまたぎで4者連続三振と快投し、逃げ切った。先発のドラ1ルーキー・鍬原は勝敗付かずも、6回4安打2失点、7奪三振と好投した。
耳をつんざく大歓声が心地よかった。打球が中堅フェンスを直撃すると、巨人ベンチは総立ちとなり、二塁ベース上の宇佐見は何度も両手を叩き、喜びを爆発させた。2点を追う7回。陽の2点二塁打で追いつき、なおも2死二、三塁。三上の高め直球を振り抜き、勝ち越し2点二塁打を放った。「すごく感触がよかった。チームの勝ちに貢献出来てよかったです」。代打でマークした今季2安打目は殊勲の一打となった。
苦悩を乗り越え、つかんだ一打だった。昨季はプロ初本塁打をサヨナラ弾でマークするなど、「強打の捕手」として強烈なインパクトを残した。オフには背番号が「27」に変更し、誰もが今年の飛躍を期待していた。
しかし、昨年11月の秋季キャンプ中に左手首を痛めた影響で春季キャンプ3軍スタート。育成選手に交じって1日8時間以上の猛練習に励んだが、1軍の舞台では小林やルーキーの岸田、大城、さらに田中貴などが正捕手の座を巡って猛アピールを続ける日々だった。そんな時、ふと本音が漏れた。
「今でも置いて行かれているのに、僕のことは必要とされていますか? 僕のこと覚えていますか…」
不安でいっぱいだった。開幕も2軍スタートで、持ち味の打撃もファームで1割台に低迷。小林のコンディション不良で5月下旬に1軍昇格も出場機会は限られていたが「1軍でしか経験出来ないことがたくさんあるんです」。自分に言い聞かせるようにチャンスを待ち、主役に躍り出た。由伸監督も「前半なかなかね、何もできずにいたところで、2死からみんなよく集中してああいうイニングを作ってくれた」とたたえた。
もう一人のヒーローも、本来の明るさを取り戻した。2点を追う7回は2死から亀井の四球を糸口に2死満塁の好機を作った。陽はこの打席まで得点圏打率2割1分4厘だったが、「バットに当たれば何かが起こる」。カウント1ボール2ストライクから昨年3打数3安打と相性のいい三上から、右中間フェンス直撃の同点2点二塁打。宇佐見の一打につなげた。
開幕2カード目、4月3日の中日戦(ナゴヤD)で死球を受けて左手甲を骨折し、長期離脱を余儀なくされたが、復帰後からは再発を防止するために、左手甲に防具を着けて打席に立つ。「もうけがをしたくないし、着けることで積極的にいける」。最善の努力も実った。
チームは相手先発・バリオスの前に5回まで完全投球を許していたが、終盤の集中打で3連勝で3位浮上。9連戦の初戦につかんだ貴重な1勝を、上位追撃への弾みとする。(後藤 亮太)