【巨人】岡本、4番33打席ぶりヒットは“ゴジラの歩み”「素直にうれしかった」

◆巨人4―6DeNA(5日・東京ドーム)
巨人は、4番・岡本に33打席ぶりとなる安打が出たが、勝利には結びつかず。2連敗で借金5となり、DeNAと入れ替わって5位に転落した。岡本は2点を追う3回1死一、三塁、左中間へ適時二塁打。この一打を足掛かりに、チームは一度は同点に追いついたが、先発の山口俊が6回を10安打5失点と踏ん張れなかった。6日からは本拠地・東京Dで首位・広島との3連戦。22歳主砲の復活を、巻き返しへの足掛かりにしたい。
長いトンネルから抜け出す一打が左中間を転々とすると、二塁ベースに到達した岡本は両手を力強くたたいた。一塁ベンチで喜ぶ仲間の姿に目を向けると、自然と表情は緩んだ。2点を追う3回1死一、三塁。今永のチェンジアップを捉え、適時二塁打を放った。6月26日の広島戦(マツダ)で14号ソロを放って以来、33打席ぶりの安打を「素直にうれしかったです」と振り返った。
復活を告げる一打は、偶然にも“ゴジラの歩み”と重なった。6月2日のオリックス戦(京セラD)から、球団の高卒4年目以内では後に日米通算507本塁打をマークした松井秀喜氏以来の4番に座った。松井氏も高卒6年目の98年、32打席連続無安打を経験したが、33打席目で適時打をマーク。岡本はゴジラ以来となる巨人の4番での30打席以上連続無安打となったが、20年の時を経て、同じ境遇で同じベイスターズを相手に、同じ結果を残してみせた。
試合前には、偉大な先輩から助言も授かった。この日、阿部は岡本のもとへ歩み寄ると、こう口にした。「調子が悪い時ほど、なんで結果が出ていないのかを、しっかりと(ノートに)書き留めておけよ」。若き4番から不動の4番に成長するために全ての経験を財産にしてほしい―。昨季まで長年4番を務め、通算393本塁打をマークした強打者の教えだった。いろいろな場面で言葉をかけてくれる先輩の優しさを胸に刻み、臨んだ一戦。不振から抜け出すという新たな経験も積んだ。
1打席目は1死一、二塁から四球を選び、4打席目は右飛だったが、「ああいう打球も出ていなかったので、よかった」というライナー性の痛烈な打球を放った。復調の兆しを見せた岡本に、由伸監督も「本人が一番少しホッとしているというか、落ち着いてくれるかなと思う。ここにくるまでもいい当たりが正面にいったりね。それも野球の一つ。また気分が変わってくれればいい」とうなずいた。
チームは敗れ、2連敗を喫した。それでも、戦いは続く。本来の姿を取り戻した背番号25が打撃でチームを押し上げ、前半戦のラストスパートをかける。(後藤 亮太)