【巨人】吉川尚、逆転V打!激走で4点目

スポーツ報知
4回2死二塁、マギーの内野安打で三塁手・西川の悪送球の間に、二塁からヘッドスライディングで生還する吉川尚(カメラ・中島 傑)

◆巨人6―4広島(8日・東京ドーム)

 久しぶりに心から笑えた。吉川尚は二塁上で何度も手を叩いた後、両手を強く握りしめた。1点を追う4回2死一、二塁。岡田の外角低め148キロ直球を逆らわずにはじき返す。左翼線への2点二塁打で試合をひっくり返した。「悔しい気持ちもあったし、必死にやりました」。6月26日の広島戦(マツダ)以来、11試合ぶりのスタメンで、何より欲しかった結果を出した。

 取り返したい一心だった。初回無死二塁。右方向へのゴロが求められる場面で、簡単に中飛を打ち上げて走者を進められなかった。「最低限のこともできなくて、初回の流れを悪くしてしまって…。まだまだ技術不足です」と猛省。心に残るモヤモヤを振り払ってくれたのは、吉村打撃総合コーチだった。適時打を放った打席に向かう直前「思い切って行ってこい」とゲキを飛ばされ、覚悟は決まった。

 適時打の後には、二塁走者として持ち味を発揮した。マギーの打球をはじいた三塁手・西川が焦って一塁へショートバウンドの送球。松山が捕り損ねた瞬間に人工芝を蹴り、頭から本塁へ滑り込んだ。「(三塁)ベースを回って、送球は確認できていた。少しでもこぼしたら行こうと思っていた」。最大の武器の快足で、貴重な4点目をもたらした。

 先輩にも“借り”を返した。遊撃で出場した6月24日のヤクルト戦(東京D)。2点リードの7回、坂口のイレギュラーした打球を止めきれず、逆転負けのきっかけとなった。その試合で先発していた今村の白星を消した形になり、ベンチ裏で沈んでいると左腕から「気にするな」と声をかけられた。「前回、僕のミスで負けがついてしまったので」。この日は先輩を救う一打を放ち、今村も「今日は尚輝が打ってくれたから勝てました」と最敬礼だ。

 スタメンを外れている間も、試合の流れを読むなど「勉強になる部分はあります」と無駄にはしなかった。まだ折り返し地点を過ぎたばかり。取り返す時間はいくらでもある。(西村 茂展)

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