【巨人】43歳・上原、球宴最年長0封!「最年長と言えば工藤さん、山本昌さん…その中に入っていいのかな」

スポーツ報知
6回1イニングを無失点に抑え、ナインとハイタッチする上原(左から2人目、左からバレンティン、一人おいて田中、会沢、大瀬良、菅野=カメラ・保井 秀則)

◆マイナビオールスターゲーム2018第2戦 全セ1―5全パ(14日・熊本)

 「マイナビオールスターゲーム2018」第2戦が14日、熊本地震の復興支援の一環として熊本市のリブワーク藤崎台球場で行われた。11年ぶり出場の上原は1回を無失点。43歳3か月での登板は、全パを率いる工藤監督の42歳2か月を更新する球宴の最年長記録だ。先発の菅野は2回を無安打無失点。柳田には直球攻め、山川には超スローボールを投げ、ファンを沸かせた。試合は全パが勝ち4連勝。通算成績は84勝78敗11分。MVPには、先制二塁打の源田が選ばれた。後半戦は16日に再開する。

 真夏の熊本―。最年長の上原は大粒の汗をかき躍動した。3つめのアウトを奪うと、胸をなで下ろし最高の笑顔を見せた。「本当に暑かったけど、皆さん喜んでくれてよかった」。バッテリーを組んだ小林と固い握手を交わし、一塁ベンチ前でナインを迎え恒例の“ハイファイブ”。球場の視線を独占した。

 2点ビハインドの6回。山川をスプリットで三ゴロ。四球と安打で、一、二塁のピンチを迎えたが、松田を真ん中へのスプリットで左飛、源田を高めの直球でしとめた。1回を1安打無失点に「0点だったんで。1イニング投げられたのがよかったです」。

 伝説を作った。11年ぶり8度目の球宴。43歳3か月の登板は05年の巨人・工藤公康の42歳2か月を抜く最年長を更新した。本人は「僕なんか全然。それよりも最年長と言えば工藤さん、50歳まで現役だった山本昌さんの名前が挙がる。その中に入っていいのかな」と謙遜したが、試合後は「1番目の記録はうれしいです」と素直に喜んだ。

 10年ぶりに日本球界に復帰。日本人では前人未到の日米通算100勝100ホールド100セーブの大記録も残り3ホールドと迫る。だが、過去にはとらわれない。これまでの功績は常に先を見て努力し進み続けたからこその結果だ。「過去を振り返っても仕方がないと思っています。やっぱり常に先を見据えて、現在をどう過ごすかということを大事にしないといけない。これはずっと思ってます」

 シーズン序盤は調子が上がらず苦しんだ。だが毎日、若手の他の中継ぎ陣より走り、ブルペンで投げ込んだ。マウンドに上がっただけで球場の雰囲気が変わり、ベンチが盛り上がる。ファン投票1位を獲得し愛され続ける理由は、人一倍の懸命さが伝わったからだろう。

 時の流れは進む。上原にスプリットを磨くことを勧めた工藤は全パで指揮を執り、対戦していた先輩たちも指揮官に。周りから最年長と呼ばれ「そんなに年寄り扱いしないで」と突っ込むが、レジェンドたちの人気は不動だ。上原にとって前日先発した松坂は同期でもあり、大切な存在。2人が望んだというリレー継投はかなわなかった。それでも怪物の「ボロボロになるまで」という言葉に背中を押され、上原はガムシャラに現役で輝き続ける。

 熊本の最高気温は34度。試合前は「こんなに暑いとは…。バテながら一生懸命投げるところを見てほしい」と笑った右腕。上原の背中は同世代の人々の励みでもある。「(頑張れるとか)そう言ってもらえるのはうれしいですね。これからもそう言ってもらえるように頑張ります」。平成最後の球宴に、上原の名がしっかりと刻まれた。(玉寄 穂波)

 〇…上原は球宴第1戦目、京セラDでの試合前にメジャー帰りの松坂、青木と取材に応じ「用具集めが趣味なので、大輔からグラブ、青木くんからバットが欲しい」と2人におねだり。翌日、熊本のロッカーには青木からバットが置かれていたという。また、松坂のグラブもゲットしたというが「先輩の特権として分かってるやろなと。大輔からは半分強奪しました」と笑った。

 ◆G上原の球宴 ルーキーイヤーの1999年第1戦(西武D)では同じ新人の松坂(西武)と投げ合った。イチロー(オリックス)との対戦では捕手のサインに首を振ってバックスクリーンに本塁打されるもデビュー戦で初勝利。優秀選手賞、新人賞を受賞した。01年の第2戦(横浜)では再び松坂と投げ合い3回無失点。2勝目を挙げ2度目の優秀選手賞。02年第2戦(松山)では5回から登板。3者連続空振り三振など2回完全4奪三振。Rソックス時代の14年にはメジャー球宴にも出場した。

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