【巨人】老川オーナー、相次ぐ不祥事で辞任 再発防止も「力及ばず」

スポーツ報知
度重なる不祥事で老川オーナーの辞任を発表し、会見で深々と頭を下げる巨人・石井社長(右)(カメラ・佐々木 清勝)

 巨人は17日、今年6月以降に支配下選手やスタッフに不祥事が相次いだ責任を取り、老川祥一オーナー(76)が辞任したと発表した。15年の野球賭博事件を受けて不祥事の再発防止に全力で取り組んできたが、再び球団の信用を大きく失墜させる事態となったことに、オーナーが自らの責任を明確にした形だ。また、石井一夫代表取締役球団社長が役員報酬10%、2か月の自主返納となるなど球団幹部にも処分を科した。

 巨人が身を律するために、大なたを振るった。6月以降、不祥事が相次いだ球団にあって、老川オーナーが引責辞任を決意した。「球団内で不祥事が続いたことは誠に残念です。手を尽くしてきたつもりでしたが、力が及びませんでした」。球団を通じて発表したコメントにも無念さがにじんだ。

 甲子園での阪神戦後、由伸監督は「我々の選手、現場で起きてしまったこと。当然我々も含めたみんなが責任を感じています。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。とにかくファンの皆さま、いろんなところでの信頼を回復するために、グラウンドで一生懸命野球をやって、一戦一戦勝つために努力していきたい」と神妙な面持ちで語った。

 処分対象となった案件は3つ。6月11日未明に篠原、河野が飲食店個室で不適切な行動を起こした。また、今月7日には柿沢貴裕元外野手が今年5月上旬から6月下旬にかけ、同僚選手の野球用具計約110点を盗難、売却して約100万円を受け取っていた事実を発表。契約解除に至った。さらに、球団の業務委託先から派遣された元トレーナーがトラブルを起こした件が一部写真週刊誌に報じられた。球団とは直接雇用関係はないが、監督責任を果たせなかった点を指摘した。

 球団事務所で会見した石井球団社長は冒頭「野球ファン、巨人ファン、国民の皆さんに深くおわび申し上げます。今後、二度と起こさないため、まずは球団幹部の管理、監督責任が問われなければならないと考えるに至った」と深々と頭を下げた。15年の野球賭博問題を経て巨人は球団内組織の「紀律委員会」を設置。選手への野球協約、統一契約書の規定順守徹底を訴え続けてきた。しかし、またも信頼を失う一連の不祥事に、石井社長は「選手や職員に対する教育指導に対して、球団の管理体制に不備があるのではないか」と回顧。ただ、一方で「不祥事は個人の責任と自覚して、そういったことを起こさないといった気持ちが球団全体に浸透していたのかどうかは大いに疑問」と個々の甘えの排除も強く訴えた。

 後任オーナーについて、石井社長は18日にも決定する意向を示した。老川オーナーは「今回、私が自らの身を処することによって、選手、球団職員が一体となって、紀律を引き締め、再発防止にしっかりと取り組んでいってもらいたい」とコメントを締めた。巨人軍は常に紳士たれ。初代オーナーの故・正力松太郎氏が残した遺訓を、巨人に関わる全員がもう一度かみ締めなければならない。

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