【巨人】尚輝、自力V復活へプロ初4安打

スポーツ報知
4回1死一塁、右越え3号2ランを放つ吉川尚(カメラ・石田 順平)

◆広島8―6巨人(22日・マツダスタジアム)

 大きな弧を描いた打球は、真っ赤に染まった右翼席へ消えた。吉川尚が走るスピードを緩める。「いつも通り、つなぐ気持ちで打席に入りました。うまく打ち返すことができましたが、ホームランになるとは思いませんでした」。4点リードの4回1死一塁。高めに抜けてきた高橋昂のフォークをバットに乗せた。6月8日の西武戦(東京D)以来となる3号2ランで、一時6点差に広げた。

 気温の急上昇とともに、一気に状態を上げてきた。初回1死では強烈なライナーで中前打。スタメン復帰した8日の広島戦(東京D)から、これで10試合連続安打とした。続くマギーの打席では二盗を決め、盗塁も2ケタの「10」に到達。0―0の3回1死一塁ではランエンドヒットを決めてマギーの3ランにつなげ、4月3日の中日戦(ナゴヤD)以来、今季2度目の猛打賞。「しっかり振れるようになっているので、これを続けていきたいです」。7回には遊撃への内野安打を放ち、プロ初の4安打となった。

 ただ、守備では反省もあった。5点リードの5回無死。磯村が放ったボテボテのゴロに突っ込むもファンブルし、この失策の後に3本塁打で5失点と、広島を勢いづかせてしまった。井端内野守備走塁コーチは「経験が少ないというのはあるけれど、全部が全部、一生懸命のプレーになっている。走者の足も頭に入れれば、突っ込まずに待ってから捕球でもよかったかな」と指摘した。

 即戦力のドラ1と期待された昨季は、上半身のコンディション不良で出遅れた。5月に1軍初昇格したが、無安打のままわずか10日で2軍降格。再昇格して臨んだシーズン最終戦では猛打賞をマークも、不完全燃焼のルーキーイヤーだった。「自分のレベルの低さに気づかされた1年。次に1軍に呼ばれた時は、周りの人たちから『アイツ、変わったな』と思われるようにしないといけない」。そうリベンジを誓って迎えた今季。開幕二塁をもぎ取り、今は故障離脱の坂本勇の穴を埋めるべく遊撃でも奮闘している。日に日に、たくましく変貌を遂げていることは確かだ。(尾形 圭亮)

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