【巨人】メルセデス、デビュー3戦20回0封!「自分のペースで投げることができた」

◆巨人1―2ヤクルト=延長11回=(26日・京セラドーム大阪)
メルセデスの内に秘めた思いが爆発した。1点リードの8回2死二塁、最後は谷内を真ん中への直球で二ゴロに仕留め、思い切りグラブをたたいた。「自分のペースで投げることができた」。虎の子の1点を守り抜き、スコアボードに0を並べた。
「毎回、この回を0点で抑えて次に投げられるようにと思った」。1失点も許されない中、左腕は自らを奮い立たせた。初回は満塁のピンチで畠山を見逃し三振。独自の揺れる速球とスライダー、チェンジアップを織り交ぜ、8回を3安打1四球7奪三振。自己最多の122球を投じ1点も許さなかった。
7月9日に育成選手から支配下登録。翌日の10日の初登板から3戦20イニング連続無失点とした。巨人の助っ人外国人が開幕から無失点は、ヤクルトから加入した09年にゴンザレスが18回。巨人でデビュー戦を迎えた投手では03年ラスの16回。いずれの記録も抜く最長記録だ。
投球には工夫も加えた。ヤクルトとはデビュー戦以来、2度目の対戦。5回1死、2ストライクから中村への3球目。右足の上げ方を突然2段モーションのようなフォームで直球を投げ見逃し三振。7回2死で畠山には、右足をほとんど上げずスーパークイック投法も披露した。「打者のタイミングを打ちづらくしようとする中の意図の一つです」と、ニヤリ。5回にはプロ初の犠打に成功しバットでも懸命にチームに尽くした。
快進撃を続ける左腕。いつも胸に抱くのは母国・ドミニカ共和国への思いだ。4人兄弟の末っ子で育ち、家庭は決して裕福といえる暮らしではなかった。支配下を勝ち取り、育成時代から給料もアップ。家族のために家をプレゼントすることが決まり、うれしくて涙がこぼれた。休日にはカミネロ、アダメス、マルティネスら“チーム・ドミニカ”で食事を共にする。彼らの存在は良きライバルであり、刺激しあう仲間でもある。
ヤングマンが離脱。球数、イニング数も試合ごとに伸ばし続けるメルセデスは、今やチームにとって欠かせない存在だ。「期待されると思うけど、今までやってきたことをこれからも続けていきたい」。ハングリー精神を忘れず、今後もチームを救い続ける覚悟だ。(玉寄 穂波)