【巨人】内海、4年ぶり完封!胸に秘める由伸監督への思いと小谷コーチの教え

スポーツ報知
完封で4勝目を挙げ、ナインと笑顔でハイタッチを交わした内海(中央=カメラ・相川 和寛)

◆DeNA0―6巨人(31日・横浜)

 36歳、熱投130球―。巨人は先発・内海が、2014年9月12日のDeNA戦(東京D)以来、4年ぶりの完封勝利で4勝目をマークした。2回2死満塁などのピンチをしのぎ、志願の続投で6安打のシャットアウト。チームの連敗を2で止めた。打線は重信&吉川尚の新1、2番コンビが機能。初回に重信が中前打で出塁、続く尚輝が左翼線二塁打で一気に先制するなど、ともに猛打賞、2人で全6打点を挙げる活躍。チームは7月を12勝11敗で乗り切り、月間勝ち越しを決めた。

 二度と来ないと思った瞬間が訪れた。だからこそ内海は喜びを爆発させた。9回2死。神里から三振を奪うと、マウンド上で跳びはねてガッツポーズした。130球6安打で自身4年ぶりの完封。蒸し暑いハマスタで、一人で投げきった。

 「もう(完封)できないと思っていたのでうれしいです。(最近は)9回投げるのは無理だと思っていた」

 2回までに5点の援護をもらった。2回2死満塁をしのぎ粘投。5回1死二、三塁では内野が前進守備を取らず「1点OK」の状況でロペスを迎えた。2連続内角直球のファウルで追い込み、膝元のスライダーで空振り三振。8回終了後は斎藤投手総合コーチに「行かせてください」と志願した。上原、マシソンが登録抹消でブルペンが盤石でない中、価値ある完投だ。

 今季9登板で4勝2敗、防御率2・11。先発の日は安定して試合を作る。この日は「右にも左にも(速球で)内角を攻められた。(捕手の)大城に感謝したい」と終盤の8回に142キロを計測。ロペス、筒香の3、4番を4打数無安打に封じた。復活の最大の要因は球威増。秘けつは登板間に必ず行う調整法にある。

 キャッチボールの途中、野手の送球のように大きくステップして直球、変化球を投げる練習だ。軸足の左足に体重を乗せる意識を養う。きっかけは2勝に終わった昨季の秋季練習。小谷2軍投手コーチの助言で内野ノックを毎日受け、ショートの守備位置から一塁送球でカーブを投げ続けた。

 「ノックの送球で変化球を投げるのは、全身をバランス良く使わないとしっかり投げられない。小谷さんに教えてもらって初めてやった。すごく新鮮だった」

 ここ数年「上半身と下半身が連動しない」と苦悩していた内海にとって目からうろこだった。投球フォームのバランスが良くなり直球の質が向上。近年、本格的に使うようになったツーシーム、フォークなど様々な球種の効果が増した。

 今年は開幕2軍。それでも心は折れなかった。「若手を使う方針も分かる。でもベテランの力が必要な時が必ず来るはず」と自らに言い聞かせた。そして「何とか由伸監督を胴上げしたい」と心を奮い立たせた。

 長年、主力としてともに戦ってきた由伸監督が、15年オフの監督就任会見で期待する5選手に名前を挙げたのが阿部、長野、坂本勇、内海、菅野だった。裏切り続けてきた内海には期するものがある。この日の試合後、ベンチ裏で指揮官に「ナイスピッチング」と声をかけられ「監督、頑張りましたー」と絶叫した。

 「昔のように毎試合(チャンスが)あるわけじゃない。今でも1試合ダメだったら落ちるという危機感があります」と内海。36歳。一球入魂の精神で大仕事を果たした。(片岡 優帆)

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