【巨人】新1、2番“シゲナオ”コンビで計6安打6打点

◆DeNA0―6巨人(31日・横浜)
新1、2番コンビが生み出した鮮やかな先制攻撃が、停滞ムードの漂っていたチームに勢いをもたらした。
初回。先頭の重信が中前安打で出塁すると、続く吉川尚の2球目だ。スタートを切った重信の動きに呼応するように、背番号0が低めの直球をはじき返す。左翼線への当たりで一塁から一気に生還し、わずか5球で先制に成功した。吉川尚は「走者が走っていたので、打球がいい所に飛んでくれてよかった」とうなずいた。
“シゲナオ”が機能した。初めて起用された7月29日の中日戦(東京D)では初回、ともに安打で出塁していたが、2戦連続となるこの日も初回に連続安打。さらに2回は1死一、二塁で内海が送りバントを失敗した直後、重信の適時打で追加点を奪い、続く吉川尚が2死一、二塁から井納のフォークを振り抜き、右翼席へ4号3ラン。「芯で捉えられましたが、打球が低かったので入るとは思いませんでした」と振り返る一撃で、2回までに5得点を奪った。
さらに8回2死二塁から重信が適時打、負けじと尚輝も内野安打をマーク。ともに猛打賞の大暴れだ。左脇腹痛で坂本勇が戦線離脱している中、輝きを放った2人について、由伸監督は「やっぱり足があるんで、それを今日はうまく使えた。そこは今後もこういう形を出していけたらいい。こういう形で若い2人が頑張ってくれると、チームとしても非常に大きい」とたたえた。
これで吉川尚は17試合連続安打。今では打線のキーマンになっている。それでも、1年目の昨季のこの時期は2軍で黙々と汗を流していた。ドラ1で入団しながら戦力になれず胸の中は悔しさがあった。そんな時、毎日のように声をかけてくれたのが当時の内田2軍監督(現2軍打撃コーチ)だった。
広島の2軍監督時代の教え子で、今では球界を代表する名手・菊池を引き合いに「菊池がお前と同じ頃を見ていたが、菊池よりもいい。野性的な守備は味方を盛り上げるし、リズムも作れる。打撃もセンスがある」と背中を押してくれた。これには尚輝も「そう言っていただけて自信になります」と励みになった。1年間でしっかりと土台を作り、今では遊撃の守備でも勇人の穴を埋めるなど、攻守でチームの柱となっている。
これで連敗は2でストップ。重信が「(持ち味は)スピードなので、そこを出していけたらチームの力になれると思う」と話せば、尚輝も「2人とも出塁できて、得点に絡むことができた。今日みたいなのが、一番いい形だと思う」と手応えを口にした。3位からの浮上には、この2人の働きが鍵を握る。(後藤 亮太)