【巨人】岡本20号 22歳以下では王、長嶋、松井、坂本勇以来の球団5人目

スポーツ報知
初回2死一塁、右越えに先制の20号2ランを放つ岡本(捕手・武山=カメラ・竜田 卓)

◆中日4―6巨人(4日・ナゴヤドーム)

 巨人の岡本が初回に右越え2ランを放つなど3安打3打点をマーク。チームの逆転勝ちに貢献し、シーズン20本塁打に到達した。昨年までの3年間でわずか1本塁打だった男が急成長を遂げ、ここまで全99試合に出場。巨人の22歳以下では王、長嶋、松井、坂本勇しかいない“領域”へ踏み込んだ。試合は8回、長野が9号勝ち越しソロ。9回は、前夜にサヨナラ押し出し四球を与えた沢村ではなく、アダメスを守護神として投入する継投策を見せた。チームは2位に再浮上した。

 豪快に振り抜いたわけではない。バットで軽く払うようなスイングだった。それでも、岡本の打球は右翼ポール際の最前列へ飛び込んだ。「外角の球にうまく反応できました。自分でもびっくりです。なんとか食らいついていこうと思って、それがいい方向にいってくれました。逆方向? 全部(全方向)に入れられたらと思っているので」。初回2死一塁。小笠原の外角141キロを右翼席へ運んだ。

 3試合ぶりの一発で、ついに20号の大台に乗せた。22歳以下のシーズンでの20本塁打は、巨人では長嶋、王、松井、坂本勇に次いで5人目。「開幕する前は、こんなに打てるとは思っていませんでした。また一本一本、積み重ねていきたい。シーズンの最後までしっかり頑張ります」。常勝軍団の看板を背負ってきた歴代のスーパースターの中に名を連ね、若き大砲は喜びをかみしめた。

 強打者としてだけでなく、中心選手になるべく日々成長中だ。7月22日の広島戦(マツダ)。一時は6点のリードを奪うも、5回に5失点して追いつかれた。広島打線の猛攻を止められなかった直後、岡本は吉川尚、大城とともにベンチ裏に“集合”をかけられた。「なんで誰も『間』を取りにマウンドへ行かないんだ? 追いつかれそうかもとか、ヤバい雰囲気だとは感じなかったのか? お前らはまだ若いから何もしなくていいのか?」。目の前には、鬼の形相をした阿部が立っていた。

 流れを止めきれず、広島にカード3タテを食らった。だが、その苦い経験は岡本の中に生きている。初回に追いつかれた直後、菅野の元に歩み寄って真っ先に「間」を取ったのは背番号25だった。3回に逆転された時も、マウンドのエースの横には岡本がいた。適時打を含む3安打で勝利に貢献し「タイムリーが一番チームに貢献できるので」とうれしそうだったが、相手に傾きかけた流れを止めようと、バット以外でも陰ながら奮闘している。

 この試合だけではない。プロ初登板した高田や、支配下登録されたばかりのメルセデスがピンチを迎えそうになった時、いつも岡本はスッと動いている。由伸監督も「日々、チームの中心になりつつあるのかなというのは感じるね」と認めている。絶対的リーダーの坂本勇がいない今、代わりに試合をコントロールすることができるのは岡本だ。(尾形 圭亮)

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