【巨人】阿部のスイング「全盛期のよう」原辰徳氏特別観戦記

スポーツ報知
試合前に村田ヘッドコーチ(右)と談笑する原辰徳氏

◆巨人3―1阪神(8日・東京ドーム)

 巨人前監督の原辰徳氏(60)が特別観戦記を寄せた。阿部の3ランを「全盛期のようなスイング」と絶賛。坂本勇の故障もあって先発メンバーのやりくりも厳しいが、こんな時こそ次世代の中心人物が台頭するチャンスだと説いた。(構成・高田健介)

 全盛期を思い出すような、素晴らしいスイングだった。阿部の3ランは、コマのように回転して高めの直球に振り負けなかった。ベテランでも、約2か月ぶりのスタメン出場は緊張感が高まるが、1打席目で結果を残すのはさすが。長く柱として引っ張ってきた男の責任のようなものすら感じたし、ファンをとりこにするあのヒーローインタビューは素晴らしく、野球に対する情熱を改めて感じた。

 シーズン終盤にさしかかり、8、9月はオーダーを固定して戦いたいのが本音だ。今、巨人は坂本勇人が故障で離脱していることで、スタメンを固定できない。これはピンチでもあるが、若手には大きなチャンスでもある。

 私が指揮した時、小笠原とラミレスが中心選手だった時期があった。圧倒的な存在感でチームを前に進めてくれたが、いつも「2人に頼ってばかりのチームでは衰退する」と言っていた。2人に食らいついて先頭に立ったのが阿部であり、阿部の後ろ姿を見て勇人がリーダーになった。若手にはチャンスだ、と言ったが、戦力として台頭するチャンスでもあり、近い将来、精神的にもチームを引っ張る軸になれるチャンスであることも忘れてほしくない。

 プロならひたむきにプレーするのは当たり前で、考える力を身につけてほしい。例えば打席で、カウント的に追い込まれたときにどう立ち向かうか。ストライクゾーンを広げるのではなく、逆にミートポイントを捕手寄りに置けば、ボールゾーンの変化球を見極められる。そういう工夫が首脳陣には伝わるし、使い続けるかの判断材料にもなる。

 岡本も、不調の時にどう立て直すかを考えながら成長してほしいし、小林も、捕手としてどうすれば相手に嫌だと思われる存在になるか勉強し続けるべきだ。個々の努力が集まってチーム力として発揮できる。広島の背中はまだ見えないが、まずはチーム全体で階段を一つずつ上がっていくしかない。(巨人軍前監督)

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