【巨人】“代打・吉川光”も 総力戦で延長12回ドロー

スポーツ報知
10回無死一塁、犠打を決めた代打・吉川光(左)を迎える高橋監督(カメラ・上村 尚平)

◆広島2―2巨人=延長12回=(11日・マツダスタジアム)

 巨人は土壇場で追いつき延長に突入したが引き分けに終わり、マツダスタジアムでの13連敗を止められなかった。それでも由伸監督は2点を追う8回に代打3人と代走をつぎ込む攻めの姿勢で1点をもぎ取った。9回2死から陽岱鋼のソロで追いつくと、10回無死一塁では、投手の吉川光を代打に送りバントを指示。長野を欠く中、ベンチ入り野手全員を含む21人を起用する攻撃的なタクトを見せた。菅野は7回6安打2失点と粘投も10勝目はお預けになったが、チーム一丸の死闘でドローをたぐり寄せた。

 最後の最後まで食らい付いた。粘り、耐え抜き、4時間44分の死闘を終えた。先発・菅野の後、8回から5人のリリーバーが持ち場を制圧。ベンチ入り野手は総動員で戦った。由伸監督は「ピッチャーもそうだけど、みんなでよく粘ったというか、守ったと思う」とナインをたたえた。その上で気を引き締め直した。

 「負けなかったということは大きい。ただ、もうひと押しできたところもあったわけだから。明日はそのもうひと押しをしないといけない」

 広島先発・大瀬良の前に7回2死まで無安打に封じられた。ノーヒットノーランへの期待が高まり始めた頃、岡本が左翼線二塁打で切り開いた。2点を追う8回、1死三塁で菅野の代打・大城が左中間二塁打を放って1点差に。流れを作り、9回2死で陽の起死回生同点アーチが生まれた。

 試合前から暗雲が漂っていた。長野がコンディション不良でベンチ入りから外れた。通常よりも一人少ない野手14人で臨むことになったが、こういう時に限って総力戦の展開に。用意周到なコーチ陣がチームを救ったと言っていい。

 同点の延長10回無死一塁。由伸監督はバント要員として、代打に投手の吉川光を送り出した。その時、残る野手は中井のみだった。見事成功させた左腕だが、二岡打撃コーチのバックアップも見逃せない。試合開始前、同コーチはマッサージを受けていた吉川光に「こういう(一人少ない)状況だからバントする場面では行ってもらうかも」と伝えていた。広島・広陵高出身で、バントの基礎からみっちり鍛えられ、今季はすでに5犠打を決めていた。10回に入る前、二岡コーチは由伸監督と斎藤投手コーチに「ランナー出たら光夫を行かせていいですか?」と許可をもらっていた。

 点にこそ結びつかなかったが、左腕の奮闘にベンチは盛り上がった。二岡コーチも「野手でも代打でバントは難しいのに、よく決めてくれた」と拍手。だからこそ指揮官は「うまく決めてくれたね。そこで何とかもうひと押しできれば良かったけど」と悔しがった。

 マツダでの13連敗脱出とまではいかなかったが、価値は大きい。その差は12・5。果てしなく遠いが、一歩ずつ進むしかない。後ろには阪神、ヤクルトらも迫る。この日のような全員野球で一戦必勝を続けるしかない。(水井 基博)

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