【巨人】陽、9回2死から同点弾「いい結果につながってくれてよかった」

スポーツ報知
9回2死、陽が右越えに7号同点本塁打を放つ(投手・中崎=カメラ・池内 雅彦)

◆広島2―2巨人=延長12回=(11日・マツダスタジアム)

 祈るような思いで飛球の行方を追った。走り出した陽だけではない。巨人ベンチが総立ちで固唾(かたず)を飲んだ。「とにかく出塁。塁に出ることだけを考えていました。いい結果につながってくれてよかったです」。1点を追う9回2死。中崎の外角スライダーをバットに乗せると、打球は右翼ポール際へ消えた。4試合ぶりの7号ソロは、土壇場で試合を振り出しに戻す、値千金の一撃となった。

 チームにとっても、陽にとっても、起死回生のアーチだった。2回2死の第1打席は高めのボール球に手を出して右邪飛、5回1死では外角球を引っかけて遊ゴロに倒れた。そして2点を追う7回。岡本のチーム初安打からチャンスを広げ、2死一、二塁としたが、高めのつり球で一飛に打ち取られた。それでも、直後の7回2死二塁の守備では右翼線へのライナーをダイビングキャッチ。負の流れを断とうと気迫を見せた。そして9回。「謙虚に。コンパクトに」―。そう言い聞かせて打席に入り、ひと振りで名誉挽回した。

 今年は若手の挑戦を受ける立場でスタートした。移籍1年目の昨季はけがで出遅れたため、巻き返しに燃える思いはあったが、後輩たちへの助言は惜しまなかった。食事に出かけた際にはもちろん、練習中や試合中にも細かくポジショニングなどをアドバイス。動きを目で追わせ、その場で再現させながら感覚をたたき込むためだ。「僕も若い頃は、稲葉さん、(森本)稀哲にそうやって育ててもらったので」。チームの将来のためにも手を尽くしている。

 マツダスタジアムでの連敗ストップとはならなかったが、高橋監督は「本当に、最後の最後で一発打ってくれた」とたたえた。変わりつつある流れに、乗らないわけにはいかない。(尾形 圭亮)

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