【巨人】阿部、同点“ポテン”タイムリーに苦笑 ヘルメットに書かれた代打への心構え

スポーツ報知
走者一掃の適時二塁打となり二塁上で笑顔を見せる(左は山田)

◆ヤクルト6x―5巨人(14日・神宮)

 バットを振り抜いた瞬間、阿部は悔しそうに顔をゆがめた。高く舞い上がった打球を見上げながら、重い足取りでゆっくりと走り出す。3点を追う8回2死満塁から代打で登場。カウント2―2から、近藤の外角147キロに完全に押し込まれた。しかし―。

 三塁後方の左翼線付近、落下点へ目指して駆け寄った相手のサード、ショート、レフトの動きが急に慌ただしくなる。歓声と悲鳴が交錯する中、上空の風に大きく揺らされた打球は、わずかに空いていたフェアゾーンにポトリと落ちた。

 「(代打を送られた)『ダイカンのためにも』と言ったら大げさかもしれないですが、何とかランナーをかえしたいと思っていました」

 二塁ベース上、阿部は驚いたような、照れたような笑みを浮かべた。形はどうであれ、走者一掃の3点二塁打。この一打で試合を振り出しに戻し、同じく代打・長野も適時打。この回一挙5点を奪い、一時は試合をひっくり返した。

 シーズン終盤の勝負所にさしかかり、阿部はヘルメットの内側に白マジックで「welcome!」と書き込んだ。「相手のピッチャーに、『さあ、いらっしゃい』という意味でね。こっちから『やるぞ! 行くぞ!』だけじゃなくて、ある程度気持ちの余裕を持たないと、いい結果にはならないから」。試合を左右する場面での代打が多い今季、打席に向かう直前にはこの文字に視線を落とし、気持ちを落ち着かせている。

 9回裏にアダメスが崩れ、勝利にはつながらなかったが、次の出番でも阿部はやってくれるはずだ。(尾形 圭亮)

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