【巨人】ただいま!坂本勇、岡本弾呼ぶ右前打「ほっとしました」

◆巨人6―0阪神(25日・東京ドーム)
頼れる主将が帰ってきた。巨人は坂本勇が故障から復帰し、「1番・遊撃」でスタメン出場。初回の第1打席で右前打を放ち、岡本の24号先制2ランへとつなげた。投げては菅野が12奪三振をマークし7安打完封。両リーグ単独トップの7完投を、こちらもトップの5度目のシャットアウトで飾り、11勝目を挙げた。主将、4番、エースの活躍で阪神を圧倒。虎を相手に7年連続のシーズン勝ち越しを決めた。
割れんばかりの大歓声が心地よかった。坂本勇は、一塁上で日焼けした顔から少しだけ安ど感をにじませた。復帰初戦の初回先頭。フルカウントから小野の直球を右前へ運んだ。「ほっとしました。得点にもつながったのでよかった」。2死から岡本の先制2ランで生還すると、笑顔で若き大砲を出迎えた。由伸監督が「チームにとっても坂本の存在感はあの1打席で出たかな」とたたえる一打が、快勝への道筋を照らした。
守備でも5回1死、梅野の三遊間への打球に飛び込んだ。わずかに届かず左前打となったが、40日ぶりの1軍でも遊撃の位置には変わらぬ姿があった。
悪夢を乗り越えた。7月16日の阪神戦(甲子園)の5回。二遊間へのゴロを一塁へ送球した直後に左脇腹に違和感を覚えた。高熱が出ても鼻の骨が折れてもスタメンを張ってきた男。その後もプレーを続けたが、9回の打席でフルスイングした際に、かつて経験のない鈍い痛みに襲われた。
翌日には3年ぶりの出場選手登録抹消。歩いた時の振動や、せき、くしゃみをしただけで患部に衝撃が走る。完治まで1か月以上を要する肉離れだった。逆転優勝に向けた後半戦の初戦での戦線離脱。主将としての責任感から失意に沈んだが、無理にでも気持ちを切り替えた。「けがしたことを考えてもしょうがない。早く戻りたいという気持ちを抑えながら、前よりもいい体で戻れるように」。そう、心に決めた。
リハビリ中は午前6時半に起床し、球場では全体練習開始前からトレーニング。患部の筋肉周辺が硬いことが肉離れに関係したと指摘を受けると、再発防止のためにチューブを使いほぐすケアも始めた。「自分の体としっかりと向き合うタイミングだったのかな」。高卒2年目からレギュラーを張ってきたからこそ、財産として前向きに受け止めた。
試合前には全体ミーティングで「1か月半もチームを離れて迷惑をかけてしまったので、残り27試合チームを引っ張っていけるように頑張ります」と決意表明。2軍戦は2試合のみ。守備も5回までが最長だったが、この日はフル出場でチームの勝利に貢献した。
指揮官も「いないと困る選手だからね。その選手が帰ってきたことでチームの形は変わるよ」とうなずいた。試合前のスタメン発表では大きな拍手が送られるなど復帰初戦を終え、勇人は「こんなにたくさんのお客さんの前でプレーできるのはいいですね」と笑顔。帰ってきた主将が、チームに勝利をもたらす活躍を続けていく。(後藤 亮太)
★坂本勇の経過
▽7月16日 阪神戦(甲子園)で左脇腹を痛める。
▽同17日 出場選手登録抹消。
▽同24日 ジョギング再開。
▽8月7日 ティー打撃とキャッチボールを再開。
▽同14日 マシン打撃再開。
▽同15日 屋外フリー打撃再開。
▽同17日 3軍の全体練習に合流。
▽同23日 イースタン・DeNA戦(G球場)に「1番・DH」で出場。
▽同24日 イースタン・日本ハム戦(鎌ケ谷)に「1番・遊撃」で出場し、右翼フェンス直撃二塁打。1軍昇格が決まる。