【巨人】菅野、復帰戦の坂本主将に感謝の連続完封「いい間を作ってくれた」

◆巨人6―0阪神(25日・東京ドーム)
1点も与えないつもりで攻めた。6―0の9回2死二塁。菅野は原口を内角152キロ速球で二ゴロに抑え、2試合連続完封で11勝目。巨人では95年6完封の斎藤雅樹以来、23年ぶりのシーズン5完封に「ジャイアンツで一番尊敬する選手、コーチなのでうれしい」と偉業をかみしめた。
主将・坂本勇の復帰戦ということもあり、初回はいつも以上に気持ちが入っていたという。2四球などで2死満塁。ここで坂本勇がマウンドで「力みすぎるなよ」と声をかけてくれた。「勇人さんがきてくれて、帰ってきてくれたんだなと実感しましたし、いい間を作ってくれたと感謝しています」。伊藤隼を三邪飛。攻撃への流れを引き寄せた。
「(初回は)腕が振れすぎていたといったらあれですけど、よく修正できたなと思います。途中からカーブを使い始めて投球の幅が出た。フォーム的にもゆったり投げられました」
左打者6人の阪神打線に内角を意識させながら12奪三振。最後まで圧倒した。
19日の中日戦(東京D)で3年目の中川がリリーフでプロ初勝利。菅野はベンチ外で球場を離れていたが、オフに一緒に自主トレした後輩からすぐに報告の連絡が入った。「おめでとう」だけで終わらず「プロで1勝もできない人はたくさんいる。諦めずにやっていればこうやっていいことがある」との金言を贈った。
「1勝に大きいも小さいもない。成功体験をたくさんしてほしいですし、それによって重みを知ってほしい。あいつは理解してくれると思っているので」
中川は今季途中、阿部の助言で腕をスリークオーター気味に下げて球威が増した。菅野も相談を受け「試してみな。そのかわりダメだったら戻る場所をつくっておきな」と背中を押していた。ドラフト制後、巨人に入団した日本人投手の約50%が通算0勝。プロはそれほど厳しい世界だ。「変わるのは勇気がいること」と後輩の意志の強さを感じていたからこそ、祝福するだけでなく1勝の重みを伝えた。
通算72勝のエース菅野でも、1つ勝つ難しさは常に感じている。この日も試合の中で考え、試行錯誤し勝利をもぎ取った。1歳年上の坂本勇とは、強いチームを作るため開幕前から議論を重ねた。若手が台頭し、着実に形になってきている。主将の復帰戦を最高の形で飾り「全部勝つつもりで最後まで戦い抜きます」と全員の思いを代弁した。(片岡 優帆)
巨人・菅野が自身2試合連続今季5度目の完封。チームとしても24日阪神戦のメルセデスに続いて2試合連続完封勝利となった。
菅野の完投は12球団最多の今季7度目。巨人投手でシーズン7完投以上は03年11完投の上原浩治、7完投の木佐貫以来15年ぶり。