【巨人】超攻撃的布陣も3連敗…首位・広島と13・5差

スポーツ報知
6回の攻撃前、ベンチ前で円陣を組み作戦を練る巨人ナイン(カメラ・堺 恒志)

◆巨人4―5広島=延長10回=(29日・東京ドーム)

 巨人が首位・広島に延長戦で敗れ、これまで逆転優勝の経験がない13・5ゲーム差に広がった。今季初めてマギーを二塁で先発させた攻撃的布陣で挑み、初回こそマギーの犠飛と岡本の今季80打点目となる中前適時打で2点を奪うも、7回、9回、10回の好機でことごとく点が入らず。10回に無安打ながら3四球で満塁のピンチから、最後は痛恨の押し出し四球を与えたアダメスを救えず、3連敗となった。

 決めきれないもどかしさが、最後まで続いた。1点を追う延長10回、1死一、二塁で重信が二ゴロ。なおも2死一、三塁で代打・大城が左飛に倒れた。6、7、9回の好機も合わせ、由伸監督は「何とか追いついて、何とかそこでね。まあ、他にも決められるチャンスで追い越さないとね」と指摘した。

 同点の延長10回、新守護神・アダメスが申告敬遠を含む4四球の押し出しで決勝点を献上した。だが、マシソンやカミネロがけがにより帰国している今、中継ぎ陣に開幕当初のような計算は立たない。7回の上原、8回の沢村と無失点でつなぎ、「何とか粘り強く頑張ってくれた。こうやって粘り強くやっていくしかない」と責めることはなかった。それよりも、打ち勝つ―。この日の先発オーダーが物語っていた。

 昨年10月1日の阪神戦(東京D)以来の先発となる「二塁・マギー」で臨んだ。今季は10日の同カード(マツダ)で途中から試運転をして動きを確認。一塁の阿部と左翼・ゲレーロを同時起用するための策だった。開幕前、「やはり守備を考えるとマギーの負担も大きくなるし、やらなくていいのがベストだよ」と話していたが、120試合目にして敢行した。1点差のゲームはこの日で9勝23敗。投手陣を中心とした守り勝つ野球がままならない状況だからこそ、とっておきの策に転じた形だった。

 攻撃的な布陣を敷いた分、由伸監督は采配を曲げなかった。同点の7回無死一、二塁の好機でゲレーロが二ゴロ併殺打。この場面、1点を奪いにいくなら、助っ人に代打を出して送りバントの策もあったかもしれない。だが、ゲレーロのバットを信じて、結局は無得点。終始攻撃の意思を貫いたベンチのこだわりが垣間見えたケースだった。

 指揮官の期待に応えられなければ、この超攻撃的布陣はこの日のように、裏目に出る。一方で破壊力も秘めた並びでもあり、今のチームには得策だろう。9回2死満塁、サヨナラのチャンスで三ゴロの長野は「最後、満塁の場面で決めていれば終わっていたので…」と唇をかみしめた。各選手が、由伸監督の強気な姿勢を分かっていたからこそ、悔しさは倍に募った。(水井 基博)

巨人

×