【巨人】岡本「何とかしようと」同点の9回2死満塁から走者一掃V二塁打!“さんま魂”で猛打4打点

◆中日3―5巨人(31日・ナゴヤドーム)
巨人の4番・岡本が同点で迎えた9回2死満塁、中越えに走者一掃の勝ち越し二塁打。6回にも同点に追いつく適時打を放つなど、3安打4打点の大暴れでチームの連敗を4で止めた。投げては先発のメルセデスが8回を4安打2失点の好投で5勝目。チームは故障者が相次ぐ苦境の中、8月を13勝13敗1分けの勝率5割で乗り切った。月が変わればツキも変わる。残り21試合。若き主砲を中心に一丸となって、勝ち進むのみだ。
歓声と悲鳴が交錯する中、試合を決める打球は中堅手の頭上を大きく越え、フェンスの手前で弾んだ。殊勲の一打に岡本は何度も手をたたき感情をあらわにし、三塁ベンチの仲間に向けて右手を突き上げた。同点の9回2死満塁。走者一掃の勝ち越し二塁打を放った。「何とかしようと食らいついた。抜けてくれて良かったです」と笑みを浮かべた。
ドラマは最終回に訪れた。8回に同点に追いつかれ、9回も簡単に2死を奪われる。しかし、坂本勇は空振り三振に倒れたが、捕手が後逸し振り逃げで一塁へ。すると代打・阿部が四球、マギーが中前安打でつなぎ、満塁で4番に回ってきた。中日の新守護神・佐藤の前に2球で追い込まれたが、1球ファウルで粘り、最後は低めのスライダーをはじき返した。「崩されたけど、芯で捉えることができた。最近負けていたので勝てて良かった」。1点を追う6回にも左前に同点適時打を放つなど、この日は3安打4打点の大暴れ。チームの連敗を4で止めた。
今季からレギュラーに定着し、第89代4番にまで成長を遂げた岡本の心の中にはお笑い界のレジェンドの思考がある。ある時、ふと口にした言葉がある。「奈良県民は落ち込まないんですよ」。言葉の意図は同郷の大先輩・明石家さんまの「落ち込まないねん。人間、その日やったことが全てやから」という格言だ。1打席ごとに結果が出るのがプロの世界。シーズンを戦う中でいい時もあれば、当然悪い時もあるが、どんな時も前を向いて戦うことで結果につなげてきた。
この日も勝ち越し打の2球前には左翼ファウルゾーンへの大飛球。ヒーローインタビューでは「しまったと思いました」と話すなど悔しさを見せたが、打席の中でもしっかりと切り替え、歓喜の瞬間につなげてみせた。由伸監督も「勝負強さというか大したもんだよね。ここまでの彼の成長があの1打席に出たなという感じがしたね」とたたえた。
いよいよ勝負の9月に突入する。「明日も勝てるように頑張ります」。4番のもたらした1勝は、間違いなくチームに勢いを与えたはずだ。(後藤 亮太)