【巨人】“地方の鬼”岡本、3戦連発弾で30号王手も「勝たないと意味がない」

◆巨人3―6DeNA(5日・富山)
巨人は富山での一戦で“地方の鬼”こと岡本が3回、一度は逆転となる29号2ランを放ち、30号にリーチをかけた。次戦は8日から阪神との甲子園2連戦。自らを育てた“聖地”での大台到達が現実味を帯びてきた。チームは風による守備のミスが相次ぎ、連勝が2でストップ。先発・吉川光が5回3失点、7年ぶり救援登板の内海も2回2失点と踏ん張れず。DeNAのドラフト1位・東(あずま)に新人史上初となるデビューからの巨人戦4戦4勝を許した。借金4で2位・ヤクルトとは2・5ゲーム差に拡大。踏ん張りどころだ。
富山の夜空に、岡本が放物線を描いた。1点を追う3回2死一塁。2ストライクから東の低めのスライダーをすくい上げ、左翼席最前列へ打球を運んだ。今季自身2度目の3試合連続本塁打で、一時は逆転の29号2ラン。「何とか食らいついていきました。うまく前でさばくことができました」。ついに大台の30本にあと1本と迫り、打点は91に乗せた。
この日は午後6時の時点で富山市内は風速6・8メートルが記録され、バックスクリーンに掲揚されている旗は試合前から右翼から左翼へ大きくはためいていた。右打者にとっては、引っ張った打球が風に乗ってスタンドに入る可能性が高くなる。そんな有利な展開でも、試合前には「そういう時に限って、力んでしまうんですよ」と苦笑いを見せていた。
ただそれも、今の岡本には過去の話だった。今までとは違う自分を示すかのように、バットで力強くはじいた打球は風にも乗り、スタンドイン。「打球が低かったので入るとは思いませんでした。風に乗ってくれましたね」と、うなずいた。
初回には2死一塁で左前安打を放つなど、この日は2安打2打点。これで地方球場では今季の10試合全てで安打を放つなど、打率4割8分9厘、5本、14打点と驚異的な数字を残す。「去年までファームにいたので」と慣れない球場でプレーする機会が多かったことも、好影響を与えている。
しかし、チームは東の前に6回まで岡本の2ランのみに終わり、新人では初のデビューから巨人戦4戦4勝を献上してしまう屈辱を味わった。試合後は4番として「勝たないと意味がないです」と悔しさをにじませ、厳しい表情を浮かべた。
これでシーズンは残り18試合。チームで唯一全試合スタメン出場を続ける背番号25だが、最終盤の戦いは無欲で臨むと決めている。今季開幕前は「10発&50打点」を目標に定め、達成とともに「20発&80打点」に上方修正。120試合目で2度目の目標にたどり着き、今度は史上最年少での3割30本100打点に歩みを進めている。それでもシーズン最後の目標を聞かれても、「(数字は)意識することなく、1試合、1試合戦っていくだけです」。毎試合、毎打席、必死に戦い抜いた先に、強打者の称号はついてくる。(後藤 亮太)