【巨人】由伸監督、岡本よキング「取れ」自身は無冠だからこそ指令

巨人・高橋由伸監督(43)が6日、猛打爆発中の岡本に「キング奪取」指令を下した。5日のDeNA戦(富山)で3戦連発の29号を放ち、目標の大台にリーチ。だが、指揮官の欲求は次第に高まっているようで「チャンスがある時に狙わないと」と本塁打王のタイトル獲得にまで期待をかけた。トップは丸の34本。4番のさらなる飛躍が現実となれば、クライマックスシリーズ(CS)からの逆転Vへ大きな弾みになる。
岡本の止まらない猛打に、由伸監督の欲求は高まる一方だった。ただいま3戦連発中で、最近9試合では6本と量産態勢。本塁打王争いでは、現在トップに5本差だ。目標としてきた30発に早くもリーチをかけたが、さらなる上方修正が必要。岡本にお似合いなのは「キングの座」だ。
「獲得すれば自信に? そりゃあ自信になるよ。これから先はまだまだ長いからチャンスはあるだろうけど、そんなの分からない。バレンティンみたいに60本打っちゃう選手が出てきたりもするわけだからね。取れる時に取らないと。それは本当に思うよ」
成長驚き 岡本の成長は正直、指揮官の想像を超えている。「開幕前はこんな数字を残せるとは思っていなかった」と本音を見せ「期待以上だよ」と笑顔を見せた。岡本がプロ1年目の15年シーズンは、由伸監督も現役選手で、ただ「余り印象にない」という程度。それがわずか3年の月日を経て、不動の4番に定着するとは夢にも思っていなかった。
6月2日のオリックス戦(京セラD)から4番に抜てき。その時、「何があっても動かさない」という強い覚悟を持った。それは「1年で松井秀喜と比べちゃうと、ちょっとあれだけど、同じ資質があるんじゃないかと期待はしていた」から。開花しつつあるアーチストとしての才能を、タイトル奪取によってもうワンランク上のレベルへと羽ばたいてほしい願いがある。「取った人、争った人、経験者にしか分からないこと、言えないことがあるからね」。現役時は無冠に終わった監督だからこそ、逆に思いは強まっている。
打点王争いでも3位につけているが、トップのバレンティン(ヤクルト)とは22打点も差がある。巨人は残り18試合で、ヤクルトが24試合と厳しいのは事実。本塁打トップの丸がいる広島も残り23試合あるが、比べるなら本塁打タイトルの方が現実的だろう。岡本は「1打席1打席、集中して臨みます」と新たな目標を定めた。CSの逆転優勝にも弾みがつくだけに、指揮官も「うん、そうだな」と力強くうなずいた。
ちなみに、松井秀喜は24歳でキングになった。22歳の岡本が“ゴジラ超え”に迫り、いずれ追い越すためにも、チャンスを逃してはいけない。(水井 基博)