【巨人】坂本勇、甲子園で初めて逆方向弾「いい形で自分の強いスイングができた」

スポーツ報知
5回1死一塁、坂本勇が決勝の2ラン(カメラ・矢口 亨)

◆阪神2―7巨人(8日・甲子園)

 極限まで“獲物”を引きつけた。坂本勇は軸足にしっかりと体重を残し、その場で回転するように白球をはじき返した。上体がのけぞるほど迫力あるフィニッシュから放たれた打球は、右翼席へと舞い落ちた。「いい形で自分の強いスイングができた。(菅野)智之が出塁してくれたのでつなげればと思っていたけど、最高の結果になってよかった」。甲子園では自身初となる逆方向の一発はそのまま、決勝弾となった。

 眠っていたチームを呼び覚ましたのは、主将のひと振りだった。0―1の5回1死、右前打の菅野を一塁に置いて、小野の直球を捉えた。7月10日のヤクルト戦(神宮)以来の一発となる14号2ラン。「甲子園なので入らないかなと思いながら走っていたけど、風も多少吹いていたのでよかったです」。普段は右翼から左翼方向へ吹く浜風が、この日は左翼から右翼に吹いていたことにも恵まれた。主将の一撃から、1イニングで2ランが3発、打者9人で6得点のビッグイニングが生まれた。

 7月16日の阪神戦(甲子園)で左脇腹の肉離れを負い、リハビリを強いられた。記録的猛暑の中、ひと回り近く年齢の離れた育成選手たちとG球場で一緒に汗を流す日々で、強く感じるものがあった。「ひたむきに練習している姿を見たら、1軍ってどんないい環境でやらせてもらっているんだろうと。新鮮な気持ちになりました」。原点に立ち返る思いで、1軍に居続けることの重要さ、大変さを痛感した。8月25日の1軍復帰後初アーチが、負傷した甲子園。不思議な縁での再出発と言わざるを得ない。

 初回に復帰後10戦で9度目の安打となる遊撃内野安打で出塁。9回にも左前安打を放ち、今季13度目の猛打賞をマーク。通算では134度目で、柴田勲を抜いて球団単独4位に浮上した。打率も3割4分1厘とし、トップの中日・ビシエドと1分差に。約1か月の戦線離脱を経験したものの、再び首位打者を狙える位置まできた。「残り試合数は他のチームより少ない。何とか1試合でも多く勝ちをつけて、相手に重圧をかけられるように。チーム一丸でやっていく」。佳境になるにつれ調子を上げてきた勇人のバットほど、頼もしいものはない。(西村 茂展)

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