【巨人】菅野、打高投低の年に輝く6完封…平成の大エースから託された使命

スポーツ報知
5安打完封で13勝目を挙げた菅野(カメラ・橋口 真)

◆巨人5―0ヤクルト(22日・東京ドーム)

 巨人は、先発の菅野が2位・ヤクルトを5安打に抑え、今季6度目の完封で13勝目を挙げた。負ければ4位後退の危機を迎える中、95年の斎藤雅樹以来となるシーズン6度のシャットアウトでエースの貫禄。東京Dで完封5度は球団最多となった。打線は初回に長野の2点適時打などで3点を先制すると、7回には坂本勇がダメ押しの15号ソロを放って快勝。投打の主軸の活躍を契機にクライマックスシリーズ(CS)進出へ弾みをつけたいところだ。

 絶対に本塁を踏ませない。菅野の全身から気迫がみなぎっていた。5―0の9回2死一、二塁。この試合133球目の149キロ直球で西浦を押し込んで中飛。マウンドで捕手の小林と抱擁した。「(9回は)ここまできたら1点でも取られたら意味がないので、完封にこだわって投げました」。セ・リーグでは斎藤雅樹以来23年ぶりの年間6完封。東京Dでのシーズン5完封は史上初という快挙を成し遂げた。

 初回に味方が3点先制。菅野のペースで試合を支配した。3―0の6回1死三塁。内野は前進守備せず1点OKの定位置だったが、「三振か内野フライと考えていた」。理想通り、山田哲を外角スライダーで空振り三振。終盤もストライク先行で完封へ突き進んだ。

 今季、菅野はセの規定投球回以上で唯一、イニング途中の降板が一度もない。1/3や2/3という“端数”がなく、25登板でいずれも12球団最多の183イニング、8完投6完封の活躍。胸中には「平成の大エース」に託された使命があった。

 「斎藤コーチから『お前がマウンドを降りる時は負ける時だと思っている』と言ってもらっているので。肝に銘じて頑張ります」

 11試合連続完投勝利の日本記録を持つ、尊敬する大投手・斎藤コーチからの全幅の信頼、重い言葉。この試合も当然のように最後までマウンドを死守した。

 優勝は消滅したが、誰一人闘志を失っていない。岡本は右手死球の激痛に負けず出場を続ける。菅野はそんな22歳の姿を見て奮い立っていた。「和真は強い。本当に強い。積み上げてきた根性だと思う。負けていられない」。かみしめながら言って心に刻んだ。岡本が休まない理由は個人記録ではない。4番としての責任、全てはチームのため。選手は自己犠牲の精神で一丸となって戦っている。

 セトップの菅野の防御率は2・36。入団6年目で3年連続4度目の最優秀防御率に前進した。今年のセ6球団の1試合平均得点は4・45で、4年ぶりの4点台。4・4以上は13年ぶりで、3割打者14人という近年まれにみる「打高投低」のシーズンだ。そんな中での6完封、本塁打が出やすいといわれる東京Dでの5完封は、輝かしい偉業と言えるだろう。

 次回は中5日で28日のDeNA戦(東京D)の可能性がある。7度目の完封なら、89年の斎藤雅樹に並び平成以降の球団タイ記録だ。「(残り)。一つでも上の順位にいくことがチームとしての目標なので、しっかり先頭に立って頑張ります」。2位ヤクルトと4・5差。諦めない気持ちを熱投で体現した。(片岡 優帆)

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