【巨人】山口俊、男気3回5K35球「負けるわけにはいかない」

スポーツ報知
延長12回2死、最後の打者・福留を三飛に仕留め、ボールを受け取る山口俊(右は小林=カメラ・橋口 真)

◆阪神0―0巨人=延長12回規定により引き分け=(24日・甲子園)

 巨人は投手陣の踏ん張りで延長12回スコアレスドローに持ち込んだ。メルセデスが8回を投げ、阪神戦は3登板で24イニング連続無失点。9回は畠がつなぎ、最後は守護神の山口俊が3回を無安打で5三振を奪う圧巻の投球を見せた。打線は7回無死一、三塁の好機をものにできないなどわずか4安打と沈黙し、延長戦は4敗5分けと1勝もできず。06年以来のシーズン勝ち越しがなくなり、4位DeNAとは0・5ゲーム差で、自力でのCS進出は再び消滅した。

 涼しい顔で腕を振った。守護神・山口俊が甲子園のマウンドに仁王立ちした。0―0の12回2死、116キロのカーブで福留のタイミングを外して三飛。3イニング打者9人完全投球で試合を締めた。「負けるわけにはいかない。抑えられて良かったです」。魂の35球。勝てなかったが、価値ある引き分けに持ち込んだ。

 10回から登板。11回までの2イニングで4者連続を含む5三振を奪った。ベンチに戻ると、斎藤投手総合コーチに「正直に言ってくれ。もう1回いけるか?」と聞かれた。迷わず「いけます!」と即答した。「期待に応えたかった」と3イニング目も快投した。

 この日、特に光ったのがカーブ。全35球中8球投じた。抑え投手といえば「直球とフォークボール」など少ない球種で力投するタイプが多い。山口俊も通算111セーブを挙げたDeNAで抑えを務めた時はそうだった。だが、先発を経験し緩急の大切さを実感。今月から4年ぶりにリリーフに回っても、ぶれなかった。

 「カーブは前に飛ばされる確率は高いかもしれないですけど、本塁打になることは少ないと思う。ストライクで勝負できるし(腕を縦に振らないと操れない)カーブを投げることで、直球の修正もできるので」

 球速が遅くても、しっかり腕を振れば痛打されない自信がある。カーブがあることで幅が広がり、150キロの直球とフォークがより生きる。「しっかりストライクゾーンで勝負できている」と余計な力みもない。緩急自在の新たな「守護神像」を築き上げた。

 1点差を締めて移籍後初セーブを挙げた前日23日から連投。メルセデス、畠との12回0封リレーを完結させた。由伸監督は「みんなよく頑張ってくれた。(山口俊は)タフだし。先発もやっていたから」と絶賛。25日から3日間試合がないということもあり、山口俊に託した斎藤コーチも「すごいボールを投げていた。最高ですよ」と最敬礼だ。

 打線が沈黙し、今季9度目の延長戦でも延長初勝利はお預け。ただ、指揮官は「勝たなくちゃいけないけど、負けないことも大事」と前を向いた。借金6で残り6試合。山口俊は「無失点もしくはチームが勝った状態で終われるように頑張ります」とフル回転の決意を示した。(片岡 優帆)

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