【巨人】長野、さよなら弾「村田さん見てますか~」

スポーツ報知
9回1死、サヨナラ本塁打を放ちナインに迎えられる長野〈7〉

◆巨人1x―0DeNA(28日・東京ドーム)

 もみくちゃどころではない。長野の頭をボコボコと激しい衝撃が襲う。「ちょっとこすったので、どうかなと思いましたが…。ギリギリ入ってくれてよかったです」。0―0の9回1死。砂田の低め変化球をすくい上げた打球は、左中間フェンスを越えた。13年8月29日の阪神戦(東京D)以来5年ぶりとなる、自身3本目のサヨナラ弾。緊迫の投手戦にひと振りで決着をつけ、ホームベースを踏むと、手荒い祝福を受けた。

 一歩間違えれば、本当に袋だたきだったかもしれない。2回無死二、三塁では東のチェンジアップを打ち上げて浅い右飛。24日の阪神戦(甲子園)でも絶好のチャンスで凡退し、チームは引き分けに終わっていた。CS進出へ負けられない戦いが続く中、再びの悪夢と思われた土壇場で名誉挽回した。高橋監督は「最初の1打席目でね…。最後の最後で取り返してくれた」と苦笑交じりにたたえ、長野も「2回の打席で決められなかったのは残念ですけど、トモ(菅野)に勝ちがついてよかったです」と胸をなで下ろした。

 お立ち台で叫んだ。「村田さん、見てますか~!」。この試合には、今季限りで現役引退した村田さんが来場。長野にとっては日大の先輩であり、12年から14年のリーグ3連覇をともに支えた戦友だ。「修さんはどんな時でも『痛いかゆい』を言わない人だったし、そういうところも教わりました」。8月下旬に背筋痛で登録抹消となった長野だが、周囲のストップを押し切って強行復帰。この日は村田さんが巨人時代に登場曲として使っていた、マルーン5の「Sugar」を流して打席に立ち、本家ばりの豪快なアーチを描いた。

 試合後、村田さんがグラウンドを一周する様子をベンチから見守っていた長野。両軍ファンがそれぞれのチームに在籍していた頃の応援歌を大合唱すると、目を真っ赤にし、ベンチ横のトイレに駆け込んで号泣した。27日夜には、同じく元同僚の今季限りで引退する日本ハム・矢野から電話をもらった。「修さんに矢野さん…。お世話になった先輩たちがいなくなるのは寂しいです」とポツリ。これまで頼りになる男たちに支えられてきたが、今後は長野が後輩たちを支える番だ。(尾形 圭亮)

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