【巨人】村田さん、日大の後輩・長野弾に「俺が打ちたかったわ」特別観戦記

スポーツ報知
試合後のセレモニーで声援に応える村田修一氏

◆巨人1x―0DeNA(28日・東京ドーム)

 横浜(現DeNA)、巨人で活躍し、今年BC栃木で現役を引退した村田修一さん(37)が28日、東京Dで行われた巨人・DeNA戦で「WE★SHU」と題したセレモニーに参加した。3位争いを演じる両古巣に熱視線を送り、スポーツ報知に特別観戦記を寄せた。(★はハート)

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 緊迫した素晴らしい試合だった。最後は日大の後輩・長野が決めた。阿部さんもそうだったけど、あいつは最後まで自分の登場曲を流して打席に入ってくれた。みんなにもみくちゃにされて、こっちを探して手を振ってくれて。「俺が打ちたかったわ!」って思ったけど、もうできない。その思いを長野が果たしてくれた。

 場内を一周して、右翼席では巨人の時の応援歌、レフトを通る時は横浜時代の応援歌。あのファンファーレ、懐かしかった。最後は三塁で両軍の選手が胴上げしてくれた。最高の気分だったけど、時間がたってまた、心にしみてくると思う。

 こんな盛大なセレモニーをしていただけるなんて思ってなかった。巨人にも、そして大事な試合前にそれを受け入れてくれたベイスターズにも感謝しかない。

 基本を作ってくれたのはベイスターズ。雑なプレーしかできなかった自分に自信を植えつけてくれた。巨人に移籍する時、ファンに感謝の気持ちを伝えることができなかったのが心残りだったけど、今日、それができて、温かい拍手をいただいて本当にうれしかった。

 巨人での6年間も忘れられない。阿部さんにもお世話になった。東都大学リーグ時代から憧れで、巨人で一緒に戦ってさらにすごみを感じた。チームのためにどういう打撃をするかを教わった。将棋でいえば4番の阿部さんが王将で、勇人、長野が金銀、飛車角で。その中で自分は何になれるか考えたのを思い出す。

 試合前に花束をもらったのは、筒香と岡本だった。ゴウは入ってきた時から柔らかいいい打者だった。カズマは逆に硬さがあって、変化球に苦しんだけど、今年は泳がされても打てている。相当な覚悟で挑んだシーズンだっただろう。「俺はこうするんだ」という信念だけは、誰に言われても曲げてほしくない。引退する時にそれを胸を張って言える選手になってほしい。今後の野球界をこの2人が引っ張ってほしいとも思う。

 この先、どんな人生を送るのかは分からない。でも、BC栃木で過ごした1年は何事にも代え難いものだった。みんなへたくそだけど、必死。選手同士で打撃投手を務め合い、ネットを自分で運んで。忘れていた初心を思い出させてくれた。

 これまで応援してくださったスポーツ報知の読者の皆様、ありがとうございました。今日試合を見て、改めて思いました。「野球ってやっぱり楽しい」。皆さんももっともっと野球を愛してください。(村田 修一)

 ◆村田 修一(むらた・しゅういち)1980年12月28日、福岡県生まれ。37歳。東福岡高3年時に投手として甲子園に春夏連続出場。日大で内野手に転向。2002年ドラフト自由獲得枠で横浜(現DeNA)に入団。07、08年本塁打王。08年北京五輪、09年第2回WBC日本代表。11年オフにFA宣言して巨人へ移籍。三塁でベストナインを4度、ゴールデン・グラブ賞3度受賞。NPBでは通算1953試合に出場し、1865安打、打率2割6分9厘、360本塁打、1123打点。17年限りで巨人を自由契約となり、今季からBC栃木所属。177センチ、92キロ。右投右打。

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